Mutable_Yunの業務改善ブログ

業務改善や生産性向上のブログです。自動化の手段として、VBAやRPAの勉強に役立つ解説をしています。

生産性を向上する為に知っておくべき落とし穴と、知っておくだけで回避できる知識

働き方改革と言う言葉が定着してきて、生産性向上と言う事が唱えられるようになって久しくなりました。

生産を向上させるとは具体的にどういうことなのか、何をすれば生産性が向上したことになるのかを解説し、働き方改革にどう関係するのかについて考えていきます。

目次

そもそも生産性とは何か

ここではどれだけ効率的に付加価値を生むかという意味の生産性について考察します。ざっくり言うと、どれだけの資本投下に対して、付加価値を生み出すことができるか、と言う事です。

資本とは何か

資本とは、ヒト、モノ、カネのことです。何かを生み出すにはこれらの資本が必要です。より少ない労力で、より少ない設備で、より少ない経費でモノやサービスを生み出すことができれば、それは資本効率が良いと言うことになります。

付加価値とは何か

付加価値とは、ざっくり言うと粗利益のことです。たとえば、おにぎりを生産し、販売する事業モデルを考えます。米やのり、具材といった原材料を元におにぎりを生産します。原材料費が100円で、売値が150円ならば、差額の50円が粗利です。

付加価値はこの50円を指します。人件費をコストだと思ってしまうとここから人件費を引いてしまいそうですが、そうではありません。粗利を使って労働力に対して賃金の支払いを通して価値を与えることができるので、人件費は付加価値に含めます。

<おにぎりを生産して販売する事業モデルの売上構成>

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おにぎりの売値と原材料費と粗利の模式図

もう少し厳密に言うと、外部に支払いが発生する仕入れは原材料費です。外注加工費は原材料費に含めます。

以上より、付加価値を向上させるとは図のオレンジの部分を小さくする事によって粗利益の割合を上げるか、もしくは売価を上げて粗利益の割合を増やすかの2つの方向性がある事が分かりました。

そしてこの付加価値が分子となります。この分子を高めることが本質です。

生産性=付加価値 / 投下資本
注意点

ここで、注意点があります。

  • 注意点1

生産性向上というと、上の例ではおにぎりを素早く作って、一時間当たりに生産できる数量を増やすことだと思うかもしれません。製造業ではその意味での生産性もあります。しかし、この記事では生産量を向上させる事では無く、付加価値の割合を増やすことを生産性向上として議論します。混同しないようにしましょう。

  • 注意点2

おにぎりを1つ生産し、150円の売上を立て、100円の原材料費を上げ、50円の粗利益を得ました。それでは2つ生産すれば倍の粗利益を得れば、生産性が倍増したことになるでしょうか。答えはNoです。生産性は投下した資本に対する付加価値の割合なので、粗利益が増えても同じ割合で原材料費が上がれば生産性が向上したとは言えません。

大事なのは割合です。粗利益率を上げると言う事です。

落とし穴

ここまで掘り下げて考えると、実は業務効率化、自動化によって残業を減らすことは付加価値の向上になっていないことに気づきます。人件費はコストだと思っていた方は、この場で知識を修正しておきましょう。

業務自動化 やってしまいがちな効果測定の罠 - Mutable_YunのVBA上達&業務改善ブログで触れたように、業務削減時間を業務効率改善の目標値にしてはいけません。労働時間は生産性を表す計算式の分子である、付加価値に影響しないからです。

粗利から人件費が支払われることになるので、時給がUPすれば生産性は上がることになります。おにぎりが好評で今まで150円で売っていたところが160円にしても売れることが分かった。だからこの分を人件費に回す、というのは生産性の向上に寄与しています。

つまり、労働時間の削減は削減そのものでは生産性の向上につながらず、その削減時間を利用して売上を伸ばしたり原材料費を抑える活動をする事ができれば、その時初めて付加価値の向上による生産性向上ができた、と言う事になります。

生産性の計算式の投下資本を労働時間に変更して労働生産性として再掲します。

労働生産性=付加価値/労働時間

とはいえ、労働時間の削減が生産性の向上につながらない、と言っているわけではありません。労働時間はちゃんと分母に含まれています。

内職で封筒を折る仕事であれば、より短い時間で決められた単価を達成することになるので、早く作業ができれば生産性が上がります。つまり、分母を小さくすることによって生産性が向上します。

残業を減らせばそれは分母が小さくなるため、生産性の向上につながります。しかし、定時が定まっている会社員の場合、自動化による時間削減をしても、労働時間は減らない為、生産性は向上しません。

あくまで、生産性の本質は分子である付加価値(=粗利益率)を高めることで在り、その手段として業務効率化や自動化を捉えるのが正解と考えます。式としては労働時間の短縮は生産性向上につながりますが、本質的には労働時間削減は本当の生産性改善にはつながりにくいことを今一度頭に入れておきましょう。

付加価値を向上して生産性を上げる

言葉の意味と落とし穴が理解出来たところで、ようやく生産性向上の為の具体的なアクションを考えていきます。まず一つは付加価値を向上する方向性です。上の図で言うと、粗利率を上げる=売値を高くする方法です。

売値を高くできると言うことは、その価値を認めてもらえると言うことです。価値を認めてもらうためには2つの条件があります。

  1. 価格に見合う価値がある
  2. 価格に見合う価値があることが認知される

おにぎりの例ではおいしかったため、10円高くしても売ることができました。価値があったわけです。一方、新製品の場合、その製品があると言う事を知らなければ、そもそも買ってもらえるわけがありません。そこで周知が必要です。

おにぎりを販売する事業で付加価値を高めようと思えば、おいしいという価値を向上させて、おいしくなったと言う事を広告で周知し、売値を高くし、売る。この一連の作業が付加価値を高める具体例となります。

おにぎりを作る作業を自動化しただけでは生産性の向上になりませんが、自動化によって生まれた時間を使って、よりおいしいおにぎりの作り方を研究したり、ビラを配ることは生産性向上の施策として有効です。

原材料費を下げて粗利を上げる事で生産性を上げる

こちらは経費削減の施策です。米やのりの調達先を選別し、仕入れ値を低下させることができれば、原材料費が減るため、粗利が上がります。売値が一定でも粗利が上がるため、付加価値が増加し生産性を高めたことになります。

また、廃棄の削減は原材料費の削減につながります。100円分の材料で150円で売るつもりのおにぎりを作ったが、売れなかったので廃棄しなくては成らない。この場合の100円の廃棄損は原価に含めます。「余計な仕入れをしなければ廃棄しなくて済んだ」と考えれば、廃棄損を原価に含めてOKな理由が腑に落ちるのではないでしょうか。

需要予測精度の向上や在庫水準の適正化により、廃棄を減らすことができれば、粗利が増えるため、生産性向上となります。

まとめ

以上、つらつらと書きましたが、本質は粗利益の向上です。自分の仕事が売値のUPや廃棄損や仕入れ単価低減など、原価の低減につながっているかを確認しましょう。業務効率の改善や自動化はそのものが本質では無く、それらは売値のUPや原価の低減につながる仕事をする為に行っているのだという意識を持ちましょう!