プログラミングやスキルの学習において資格があります。結論から言うと、私はこれらを重視していません。ただ、ムダでは無い面もあると思います。
ここでは、認定系の資格を取る意味を考察します。
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認定系の資格とは、あなたの実力はこれくらいです、と言う事を証明するための資格です。運転免許のように持っていないと行う事を許されていないものではありません。よって認定系の資格を持っていなくても、そのこと自体はできます。
では、なぜ認定系の資格が人気なのでしょうか。そして、なぜ心引かれるのでしょうか。どんな自分になりたいのかをまず考えてみましょう。
企業が資格の取得を促している理由は何か
英語力向上のために企業が自社の従業員のTOEICの点数向上を目指している場合があります。また、人材採用時に応募要件にTOEIC 720点以上などと書いてあることもあります。
考えてみれば当然のことですが、このような企業は英語を業務で使える人が欲しいから、目安として書いているだけなんですよね。TOEIC 720点でハイレベルな交渉ができる人もいれば、メールでの読み書きはできるけど、会議に参加するのは厳しい人もいるはずです。それでもTOEICの点数を要件に書いていると言うことは、それは余りに有名な試験なので、これくらいの点数を持っている人であれば、これくらいの実力はあるはず、と企業が想定している言う事なんですよね。
英語力判定のために英語面接があればいいのでしょうが、それは面接官の確保などコストが掛かりすぎて見合わないのでしょう。手間を省く意味もあります。
確実に英語力が判定できればいいのであれば、実績の所にM&Aの交渉を海外でやっていて、○件の実績がある、と言えばこれは、実力の証明としてはTOIECの点数より確実に信頼がある実績です。しかも交渉力や法務、財務的な知識も担保できますね。
何も知らない人に説明するのには便利
VBAの資格でVBAエキスパートというのがあります。これは、持っていると、プログラミングを何も知らない人に説明するには「へー、すごいんだ」と思ってもらえるので、自己紹介には便利だと思います。逆に、プログラミングを知っている人に言うと「で?」って成ります。
英検3級っていって「すげー」とはならないですよね。それは我々が英語をある程度知っているので、そんなもんか、と思えるからです。これが英語以外の○○語検定であれば3級でも「へーすごい」となります。理由は簡単で、3級がどの程度の実力か分からないからです。
自分の実力を正確に説明するモノでは無いですが、この程度のメリットはある、と言う程度のモノです。
獲得すべきは資格よりスキルを証明する実績
上記で海外M&Aの実績を例に出しましたが、そこまですごい実績で無くても、自分のスキルを証明する実績は積み重ねておくべきだと思います。この自分の実績のことを「ポートフォリオ」といいます。本当に必要なのはこのポートフォリオです。人に正確に自分の実力を知ってもらえるからです。
そして、ポートフォリオは資格のように認定してもらうモノではありません。自分自身で積み上げていく必要があるモノです。
一方で、会社員であれば与えられた仕事でポートフォリオと呼ばれるモノを構成できる事は難しい印象です。少し背伸びをして、自分から仕事を取りに行くか、プライベートな時間を使ってスキルアップをして実績を積む必要があります。
認定系資格の勉強よりハードルは高いと思いますが、自分から身に付けたポートフォリオは武器になります。副次的な作用として、自信につながります。この、自身につながると言うのがとても大事で、一つ、なにかポートフォリオができれば、どんどん次に踏み出すことができます。
最初の一歩、何か実績を残す、と言う事を意識してみませんか?
それでも資格の勉強をする意味がある場合がある
それでも認定系の資格の勉強をする意味はあると思います。それは知識が網羅的に整頓できるからです。網羅的に整頓できると言う事は、実務では直接的には役立たない知識を入れることにつながります。
ポートフォリオが無い段階では、ポートフォリオの構築のために直接的な勉強やスキルアップをする方がよいです。
一方、その段階を抜けると、人に教えたりする場面が出てきます。この時に網羅的な知識があると、心に余裕ができます。また、直接は使わない知識が、よく使っているスキルの裏付けになったりすることもあります。
例で言えば、JDLAのディープラーニングの基礎知識を判定するG検定というモノがあります。私はこれは取得して良かったと思っています。ポートフォリオを作成するためには、人工知能と呼ばれている技術がどのような歴史をたどってきたのかを知ることは不要です。プログラミングそのものを勉強する方がよいです。
一方で、会社で人工知能と呼ばれる技術がどのようなモノなのかを全く知らない人に「ディープラーニングでやってくれ」と言われるようなことがあります。技術そのものの導入が目的になってしまっている人を相手にするときですね。そういうときは、どういう技術なのかの概要を説明できることができるので、資格が役に立ちます。
上の例で「よく分かっていない人」に伝えるときに役立つと言った効果もあります。
まとめ
以上をまとめると、下記のようになります。
- 何のために勉強するのかを見極める
- 自己紹介に使える位の意味はある
- ポートフォリオを積み上げる方が優先度が高い
- 直接的に仕事に役立たない知識も網羅的に獲得することができる
資格の勉強だけして敢えて受けない、と言う手もありますが、せっかく勉強したら受けたくなると思うので、そこはどちらでもいいです。