ゆんの業務改善ブログ

①生産性向上 ②業務改善 ③自動化 について情報発信しています。VBAプログラムは本当の初心者から他のアプリケーションを呼び出して使う上級者的な使い方まで幅広いレベルで解説していきます。

エクセルの作業を効率化したいなら、勉強をやめる

この記事では、エクセルの作業を効率したいなら、思い切ってエクセルの勉強をやめる、というお話をします。

美しいグラフのイメージ図

会社勤めのサラリーマンなどの事務職で、エクセルを多用している方を読者に想定しています。伝票処理や見積もりの作成、売上の管理といった煩雑な手作業を効率よく終わらせたい人へ、心がけるだけで業務効率化につながる考え方を紹介します。

目次

エクセルの作業を効率化したいなら、エクセルの勉強はやめる

思うように作業できないシニア社員のイメージ

エクセル作業を効率化したいのに、勉強をやめると聞いて、違和感がありますか?もちろん、エクセルには便利な機能がたくさんありますし、ショートカットを覚えれば作業は早くなります。勉強をすれば、作業自体は確かに速くできるようになります。

しかし、それが効率化の本質ではありません。作業が早くできるようになることは、手作業の高速化であって、作業の効率化ではありません。もしあなたが、あるチームののボスだったら、エクセルの作業能力があまりに人によって差があることに頭を悩ませることになるでしょう。

なぜならエクセルの作業が得意な人に業務が集中するようになり、優秀な部下がエクセル作業員になってしまからです。あなたが部下の立場でも同じです。

ここはひとつ、小手先の高速化ではなく、本質的な効率改善に向けてアプローチを変えてみましょう。

エクセル作業の高速化は作業の効率改善ではない

エクセルが使いこなせない人のイメージ
そもそも、なぜエクセルの勉強をしようと思ったのかを考えてみると、エクセルが得意になりたいと考えたからです。周囲にエクセル作業が得意な人、必ず一人はいますよね。ショートカットを使いこなし、マウスはほとんど使わずにコピペや貼り付け、画面の切り替えを行い、どんどん作業を進めていく人です。

そういう人見て「あー、オレ(ワタシ)はエクセルが苦手だから作業にてこずっているんだ」と思ったわけです。前の候で述べた通り、エクセル作業の高速化は業務そのものの効率改善ではありません。それは高速化です。

エクセルが便利すぎることが、あなたを誤った方向に導いていた

エクセルはあまりに多機能です。表計算ソフトでは言い表せないほどの機能が備わっています。だからこそ、エクセルを勉強しよう、ということになってしまいがちなのです。

あなたの業務はエクセルの機能を使いこなさないと実現できないものですか?ほとんどの業務は、似たような関数や機能で実現できていませんか?

それなら、必要な機能にフォーカスすることが正しい方向性です。そのためには、目の前にある作業の目的を正しく把握することが大切です。

目的に応じたエクセルにする

それでは正しい方向性に進みましょう。正しい方向に進むには、目の前にある作業の目的を知ることです。こうすることによって、目的に応じたエクセルを作れるようになります。目的に応じたエクセルという考え方こそが正しい方向性です。

正しい方向性

シートをデザインする、という考え方

シートをデザインする、という考え方を取り入れます。デザインと言っても見た目の事ではありません。設計という意味です。何を目的にした作業でなぜそれにエクセルが使われているのかを考えてみましょう。実はエクセルがベストな選択ではないかもしれませんよ。

集計が目的のシート

売上を集計する業務があるとします。販売単価×数量が計算できるようにセルの中に式が埋め込まれています。この作業にエクセルが使われている場合は、集計が目的のシートです。

このような業務の場合、売上単価と数量だけがシートに入力されているわけではなく、売上伝票番号、商品番号、販売店舗、顧客番号、顧客名などのデータも表の中に存在することが多いはずです。

このシートを手作業で加工するとしたらどういったことが考えられますか?

・・・

答えは更新です。イメージとしては、売上伝票番号をコピー&ペーストで張り付けて、顧客一覧の別のシートから顧客名をVLOOKUPで充てる感じです。こんな時、NGなのは、セルの結合です。

1行目のヘッダ行がセルの結合をされていて使い勝手が悪くなっている
こんなヘッダを持っている集計データはNGだ!

上の図の例では、A列からF列がセルの結合をされています。そして、G列とH列もセルの結合をしています。このようにセルの結合をしているとVLOOKUPがうまく当たりません。その時点でアウトです。

また、集計が目的のエクセルなのに「見やすいように」ヘッダである2行目の上にわざわざ色を付けてデータのカテゴリーを記していることも意味がありません。

これのエクセルは集計が目的ですよね。人に見せる資料じゃないんですよね。集計作業に適したヘッダにしましょう。

見せることを目的としたシート

「目的を把握してエクセルをデザイン(=設計)する」の意味が見えてきましたね。次は前項とは逆に見せることを目的にしたシートです。

見せることを目的にしたシートであれば、上の図のようにカテゴリーごとにセルの結合を利用して見やすくすることは十分に考えられます。

そうであれば、見せることを目的としたシートは、集計のためのシートとは別に作成し、集計のシートから値を持ってくるべきです。

集計を目的としたシートと見せることを目的としたシートを別にしていますか?混同していませんか?わざわざ別のシートを作るのが時間の無駄、と思っていませんか?

ちゃんとデザイン(=設計)をすることで、使う人がわかりやすく、作業がスムーズになります。これこそが手作業改善の本質です。セルの結合の方法を勉強するのをやめて、正しくエクセルを設計できるようになるのが先、ということです。

「見せる」というのが同僚に見てもらって確認する、という意味ではなく上司に「見せる」、お客さまに「魅せる」という意味なら、エクセルの表の貼り付けではない方法を検討するほうが良いですね。PowerPointや、BIツール*1の方がよい場合もあります。ポイントは、目的に応じた手段を使うことです。

最後に、ショートカットの勉強に戻る

ここまでくれば、あとは勉強に戻ってOKです。なぜなら本質的な効率化ができたので、あとは作業の高速化に取り組めばよいからです。

次のステップとしてVBAを学ぶ

少しハードルは上がりますが、計算や見せるシートを自動で生成するVBAというプログラミング言語を勉強するのが次のステップとなります。

プログラミングということで正直なところ、ハードルは少し上がりますが、集計作業から見せるところまで自動化できるので意欲のある方は取り組んでいるとよいと思います。

このブログではVBAの解説記事もたくさん載せていますので、ご参考になればと思います。

まとめ

  • エクセルの作業の効率化の本質は、目的に応じたシートの設計にある
  • 便利なショートカットや機能の勉強はそのあとにやればよい
  • さらなる改善を目指すならVBAにもチャレンジしてみましょう!

それでは、目先の作業の高速化にとらわれず、本質的な業務効率改善に取り組んでいきましょう!

*1:情報を一元化してWebブラウザ上で見せるアプリケーションソフトのこと