働き方改革や生産性向上、休み方改革と言った言葉を毎日のように見かけます。それらの議論に参加する前に、そもそも「働く」とは何をする事なのかを考え、その前提をもとに働き方改革とは具体的に何をすれば良いのかを考えていきます❗️
目次
お金の観点から見た、働くということ
仕事は、働き甲斐を得るとか、仕事を通して成長するとか、仕事の効用は色々ありますが、ここでは給料を貰うというお金から見た面に着目しよう、と言うことです。
会社員として、勤めていると会社から給料を貰います。そもそもそのお給料はどこから出ているのかというと、粗利益です。
粗利益は売上から原材料費を引いたものです。※細かい会計の話をすると違いますが、大体この理解でOKです。
と言うことは、売上が入ってくるお金なので、そのお金はどこから入ってくるのか、ということになります。お客さんですね。
価値とはどう言うことか
それではお客さんの立場に、立って見るとどうでしょうか?
よく、お客様に価値を提供するとか、仕事に付加価値をつけるというような言い方をします。おにぎりを生産して販売するモデルを例に考えます。
もしおにぎりを原価で売れば粗利益はゼロです。つまり、原材料と同じ価値の金銭と交換しただけです。これでは商売になりません。原価で売るということは原材料をただ横に流しているだけなので、おにぎりの形に握る必要がない事になってしまいます。
そこで、原材料費より高い値段で売ることになります。これにより売値と原材料費に差が生まれるので、粗利益を得ることができます。
これが付加価値です。
ポイントは原材料にもうけたい利益分を乗せるという考え方ではないということです。
売値の付け方は原材料費+目標利益ではない
原材料費が100円だとして、1円足して101円で売ることもできますし、5円足して105円を売値にする事もできます。100円足して、売値を200円にしたらさすがに売れないかもしれません。この辺りは実際にやってみないと分からないところがあります。
このおにぎりがとても美味しかったら粗利益を50円くらいに設定しても売れるかもしれません。つまり、粗利益とはお客さんがそのおにぎりに払っても良いと判断する範囲において、設定することができます。
お客さんに価値を提供するというのは、粗利益を払って貰えるものを作る、と言うことです。それをお金で貰うので、粗利益=付加価値と言えます。売る側からすると粗利益(現金)を提供する価値(商品)で買い取るイメージです。
原価に儲けたい粗利益をのせて売値を決めると言うのが順番が違うと言うのはこのためです。価値を高めることによって売値が高く設定できるので、その差額を粗利益として頂く、と言う順番です。
給料は粗利益=付加価値から支払われている
売上から原材料費を引いたのが、粗利益でした。人件費は引かれていません。つまり、粗利益がでなければ人を雇うことができません。
粗利益は付加価値なので、付加価値を提供して対価として、粗利益を得ないと人を雇うことができないと、言い換えられます。
給料を増やすためには粗利益を増やさなければならないわけです。自分の普段の仕事が、売値を高くしたり原材料費を押さえることにどう貢献しているのかを考えてみると、上司や会社に対して抱いていた不平不満も変わってくるかもしれませんね。自分の貢献の方が大きければ転職してOKです。
※本当は会社は会社員が見えないコストを払ってくれている面があるのですが、論点がずれるのでこの記事では割愛します。
つまるところ働くとはどう言うことか
以上より、働くとは付加価値を提供することであり、端的には売値を高めるか原材料費を抑えるかの、どちらかに何らかの貢献をすると言うことです。
順番が逆な働き方改革やワークライフバランスの議論
働くと言うことが何をする事なのかわかったので、ようやく働き方改革やワークライフバランス等の議論に参加することができると思います。
残業削減やホワイトカラーエグゼンプションと言った時間削減の話と、生産性向上の話がごちゃ混ぜになっているので分かりにくくなっていますが、ここまでわかれば正しい方向が見えてきます。
生産性はいかに効率よく付加価値=粗利益を上げられるか、という概念です。付加価値から人件費が支払われているので、労働時間の削減は付加価値の向上とは関係ないですよね?
働く時間が大事なのではなく、効率よく売値をあげて原材料費を下げよう!と言うのが生産性向上の本質です。
働くとは売値をあげて原材料費を下げるのに貢献するということでした。と言うことは、働き方改革とは、売値を上げて原材料費を下げる方法の改革、と言うことです。
零細企業であればいっそのこと競合と合併して大量生産ができる体制を整えてひとつ辺りの原価を下げるとか、そういうことです。
そうやって粗利益が上がることにより、従業員に、支払われる賃金が上がります。規模が大きくなったので、一人辺りの負担が減って定時で帰れるようになったり有給休暇が、とれるようになったりします。それは、結果としてです。
先に残業時間を減らすことが目的なように捉えてしまうと、働き方改革の本質を見失ってしまうので、気を付けましょう