ゆんの業務改善ブログ

①生産性向上 ②業務改善 ③自動化 について情報発信しています。VBAプログラムは本当の初心者から他のアプリケーションを呼び出して使う上級者的な使い方まで幅広いレベルで解説していきます。

ビジネスチャットとは何か|導入するメリット10選+注意点3つ

働き方改革や新型肺炎ウィルスの影響で在宅勤務が急速に注目されています。今回はそのような背景で存在感を増しているビジネスチャットを導入するメリットについて説明します。
f:id:mutable_yun:20191212201849p:plain
目次

在宅勤務に強いだけではないビジネスチャット導入のメリット10選

在宅勤務に限らずビジネス茶とは生産性向上やリスク回避の視点でも大きな威力を発揮します。この記事はビジネスチャットとはなんなのかについて概要を説明してから、メリットについて解説していきます。

一方でビジネスチャットには、社内で普及するに当たり、注意点もあります。もしあなたが導入で悩んでいるのであれば最後まで読んで頂ければ参考になることがあると思います。

ビジネスチャットとは

そもそもビジネスチャットとは何かについて説明します。基本的にはチャットです。プライベートで利用しているチャットツールとしては日本ではLINEが有名ですね。

チャットツールを使ったことがない方のために簡単に概念を説明します。チャットとは相手と自分との間に立て札があり、そこにお互いメッセージを書き込むイメージです。自分の場所ではなく、共有している板にメッセージを書き込み、時間ができたらその立札を見に行く、というのがポイントです。

人と人の間に立ててある立て札にメッセージを書き込む
チャットは人と人の間に立ててある立て札にメッセージを書き込むイメージ


一方、30代以上の方におなじみのEメールを比較のために概念を説明すると、こちらはお互いの郵便箱に手紙を投げ入れるイメージです。共有するものではなく、自分の場所に投げ込まれる、相手の場所に投げ込むというところがポイントです。

相手の郵便箱にめがけてメールを飛ばすイメージ
メールのイメージは相手の郵便箱にめがけて飛ばす。

このようにEメールの場合は飛ばしたり飛んできたりして自分の郵便箱にたまっていくので、処理しないと自分の郵便箱がいっぱいになってしまいます。一方、チャットの場合は自分の場所ではなく、共有している場所にお互い書き込むイメージなので、たまっていくイメージではありません。流れていくイメージです。


ここまでビジネスチャットの概念をEメールとの比較で説明していました。これはテキストメッセージのやり取りを例にした概念の説明ですが、ビジネスチャットとはそのようなチャットツールにビジネスで必要な機能を付加したものです。この板を共有するという概念が理解できればビジネスチャットに付加されている様々な機能はその延長で理解することができます。

具体的には下記の様な機能があります。

  • テキストメッセージのやりとり(絵文字含む)
  • ビデオ通話
  • コミュニティなどのグループ
  • スペースなど会議室
  • ホワイトボードなど、手書き文字やテキストを自由に配置した画像のやりとり
  • ファイル共有機能

様々な機能がありますが、お互いの間に板があり、そこに書き込んでいくイメージを持つと、その板のところに色々な形で情報を載せることができるという意味で理解しやすくなるのではないでしょうか。

テキストメッセージのやりとり

ビジネスチャットの基本的な機能です。プライベートで使っているLINEと同じで、文字を送信します。絵文字を利用することも可能です。また、最近のビジネスチャットはプログラミングのコードを埋め込んで*1共有するような機能も付いているものもあります。プログラミングでちょっとわからないところを教えあったりするのにも重宝します。

ビデオ通話

f:id:mutable_yun:20191129000303j:plain
非常に有益な機能としてビデオ通話があります。カメラがついているPC同士であれば相手の顔を見ながら通話することができます。顔だけでなく、現在自分が見ているPC画面を共有したり、開いている特定のアプリの画面(例えばパワーポイントなど)を相手のPCの画面に表示させることができます。このビデオ通話の機能によって社内でも、打ち合わせ相手の部署まで行くことなく、同じ資料を見ながら打ち合わせをすることができます。

コミュニティなどのグループ

など、と言っているのはビジネスチャットの種類によって呼び方が異なるためです。グループと言ってもよいです。人の集まりを一塊にしたものです。コミュニティを形成することにより、コミュニティで一つの立て札を教諭数ることになります。

スペースなど会議室

コミュニティが同じグループに属する人を束ねるものであるのに対し、スペースは同じ作業や話題を教諭するための会議室のような存在です。グループのよりも短い、あるいは緩い結びつきで情報共有を行うのに適しています。

ホワイトボードなど、手書き文字やテキストを自由に配置した画像のやりとり

ホワイトボード機能とは手書き文字や図表を共有できる機能です。ビデオ通話の項で紹介したように、ビデオ通話機能を使えば会議をリモートで行うことも可能です。会議室で一堂に会する会議ではホワイトボードにみんなが書き込んでいったり、ポストイットを貼ってアイデアをグルーピングしていったりと言うような打ち合わせの方法が可能です。あるいは、議論の過程を残すためにホワイトボードに書き込んだ文字を写真に撮っておくこともあります。ビジネスチャットのホワイトボード機能はこのような事を可能にする機能です。

ファイル共有機能

ビジネスチャットはEメールよりもはるかに大きなファイルの共有が可能です。メールは添付できるファイルサイズに10MBなどの制限がありますが、ビジネスチャットは非常に大きなファイルの共有が可能なため、ファイル共有ソフトを立ち上げてパスワードだけ後でメールで送るといった手間が発生しません。

また、後述のようにビジネスチャットは誤送信の可能性が低く、閉じられた空間で利用するため、セキュリティ面でも安心です。

ビジネスチャットの説明は以上です。ここからビジネスチャットのメリットについて説明していきます。

危機管理的に役立つ

ビジネスチャットはメインのコミュニケーションツールとして導入を推進する価値がありますが、代替え手段としても力を発揮します。ビデオ通話やテキストのやり取りなどができるということは、電話やEメールの代替え手段になりうるということです。この点について掘り下げていきます。

1.在宅勤務に効果的

新型肺炎の流行や働き方改革の呼び声から在宅勤務を推進する企業が増えています。働くことができる場所が増えるということ自体がリスク回避の意味を持ちます。例えば、従来なら大雨で電車が止まる場合など、自宅待機が余儀なくされるとその間、仕事をすることができませんでした。

しかし、在宅勤務が可能となることによって、自宅で安全に業務を進めることができます。ビジネスチャットはそのアプリ一つを開いておけば、テキストメッセージのやり取りや電話替わりのビデオ通話も即座に可能であることから、在宅勤務においては非常に重宝します。まさにリスク回避、危機管理の観点からも導入しておく価値は高いと言えます。

2.メールの代替え手段として有効

インターネットが使える限り、メールが使えないということはあまりありませんが、大きなファイルを送信したい場合にビジネスチャットが代替え手段となります。

3.電話(会議システム)の代替え手段として有効

電話が使えなくなることや電話会議システムが故障して使えなくなることは、ままあります。遠隔地と電話会議を予定していて、突然電話会議システムが故障していることに気づく、と言った場合、従来では会議そのものを延期せざるを得ませんでした。しかし、ビジネスチャットを利用することによって、電話の代替ができます。

このように複数の連絡手段を確保しておくことがリスク回避につながります。

無駄が減り、効率が高まる

前項ではリスク回避のための代替え手段としてのビジネスチャットのメリットについて見てきました。ここからはビジネスチャットそのものの付加価値を見ていきます。

4.メール関連の作業に費やす時間が減る

ビジネスチャットにはメールを減らす効果があります。これには複数の側面があります

  • テキストメッセージのやり取りができるため、送信メールが減る
  • CCが存在しないので受信メールが減る
  • チェーンメールから別件に派生しないので題名と内容の食い違いが起きない
  • 誤解が起きにくいの確認メールが減る
  • 既読かどうかがわかるため、メールのリマインドや電話でのリマインドが不要となる

使えば使うほど、このあたりの内容が腑に落ちてきます。例えば、CCが存在しないので受信メールが減る、については、「一応知っておいてほしい人に入れたい時はどうするの?」という疑問が出るかもしれません。しかし、実際、必要ないんです。CCに入れたって、どうせその人はそのメールは見ません。しかし、Eメールがある限り、EメールにCC機能がある限り使ってしまうんですよね。

5.電話が減る

電話が減ります。既読かどうかがわかるので、送ったメールに対して「メールを送ったので見てほしい」というアホみたいな(でもメールを利用する人にとっては大事な)確認をしなくてよくなります。電話をやめることは作業効率向上にてきめんです。電話は相手の状況がわからないのに一方的に時間を奪うと言う、とても傲慢なコミュニケーション手段です。

あなたも作業をしていて電話がかかったので一度手を止めたら、電話が終わった後に「あれ、何やってたっけ」と思い出すのに時間を使ったことはありませんか?集中力が途切れてまた同じ集中状態に戻るのに時間がかかる、と言う時点ですでに大幅に作業効率がダウンしているのに、さらに何をしていたのかを思い出すのにも時間を使ってしまっています。

これほど電話による作業中断の効率低下は著しいのです。電話が減るということは相手と自分の作業効率を下げないことに直結します。電話を減らすことができるということは、これだけでも大変価値のあることです。

ビジネスチャットだと、手が空いた時にテキストメッセージを見ることができるというメリットがあるので、必要以上に手を止める必要がありません。この点だけ見るとEメールでも同様のメリットがあるように思うかもしれません。ある程度まではそうなのですが、Eメールには先述のようにCCという不要な機能があるために、非常に受信数が多いというデメリットがあります。その結果、必要なメールが埋もれ、探すのに時間がかかってしまうことが頻発します。

ビジネスチャットは電話とEメールそれぞれ固有のデメリットを受けずに、見たい時に見て、しかも埋もれないといういいところ取りを可能にします。とても良い方法です。

6.会議が短縮し中身が濃くなる

ビジネスチャットはファイルの共有が可能です。よって会議資料を事前に配布しておくことができます。これより、前提知識の共有、つまり説明に費やす時間が減らせます。よって会議は情報共有の場から意思決定の場に変化します。

7.会議資料事前準備のための会議が減る

会議に備えて会議資料を準備する過程で、事前に会議資料の読み合わせのようなことをする場合があります。会議資料を事前に共有することができるということは、このような読み合わせの時間を短縮することにつながります。そしてビジネスチャットではそのスペースでどんどん修正を加えて保存していけばいいので、会議出席メンバーが一堂に会する必要なく資料の更新を進めることができます。

そして、会議資料の事前準備のための会議と言った位置づけの会議が減っていきます。会議が減らせるということは、個々人が使える時間が増えることにつながるため、生産性の向上に寄与します。

8.確認する時間と探す時間が減る

すでに一部触れましたが、ビジネスチャットはメッセージが埋もれることがありません。なぜならメールと違って一つの箱に色々な人のメッセージを詰め込んでいくわけではないからです。あくまで人と人の間にメッセージを書き込む立て札があるイメージなので、誰とのやり取りだったかがわかっていれば、検索機能を使って調べることができます。

同じ人とのやり取りはずっと同じ立て札に書いていくので、別件も含めその人とのやり取りの流れがすべて一つの記録として残っていることも検索を簡単にしています。

9.ビジネスのスピードが飛躍的に上がり始める

これまでのふくごうこうかでビジネスのスピードが飛躍的に上がり始めます。最初はメールの代わりにビジネスチャットを使う、電話の代わりにビジネスチャットを使う、と言うように置き換えるように利用していきます。そのうちに、ビジネスチャットを使って情報発信と受信を行うことが当たり前になってきます。この領域になるとこれまでのメリットが相乗効果を生み、ビジネスチャットを利用することによるメリットが1+1=2以上の効果を生み出すようになってきます。

10.自分に関係ないメッセージを気にしなくて良い

メールはCCが余計な機能であることはすでに説明しました。ビジネスチャットのやり取りはメッセージを送るのではなく、人の間にある立て札にメッセージを書き込み、それをお互いに見に行くイメージの為、そもそも無関係なメッセージが入ってくることがありません。あなたあてに書き込まれたメッセージのみを見ることができます。

ビジネスチャットにおいてあなたに新着メッセージの通知があるということは、CCではなく「あなた宛て」のメッセージあるということです。そのうち、未読のメッセージが残っていること自体が気持ち悪くなってきます。

仕事の付加価値が高まり、生産性が高まる

10.スペースの活用でコミュニティが盛り上がり、新しいアイデアが創出されやすくなる

コミュニティやスペースを有効活用することで活発な議論を行うことができます。メールはメッセージのやり取りであり、一人の情報の発信者とその他の受信者という立場に分かれます。しかし、ビジネスチャットの場合は人と人の間に置かれた立て札の概念であるため、立場がフラットです。そのためAさんとBさんのやり取りにCさんが意見を付加する、と言うことが簡単にできます。これをメールで行おうとすると横槍を入れる様な形になってしまいます。アイデアに意見をどんどん付け加えていける、修正していける、と言うことで短時間で議論が進展していきます。

このようにスペースやコミュニティが盛り上がれば盛り上がるほど新たなアイデアは生まれてからブラッシュアップされるまでの時間が短くなっていきます。結果としてより短い時間で、より完成度高いアウトプットを生み出すこととなります。これはまさに仕事の付加価値が高まり、生産性が高まることそのものを意味しています。

その他のメリット

これまで無駄の削減と付加価値の向上と言う面からビジネスチャットのメリットを紹介してきました。メリットの締めくくりとしてセキュリティ面についてのメリットを紹介します。

セキュリティ面でメールより有利

ビジネスチャット2つの点でセキュリティの点でメールよりも優れています。以下の2点です。

  • 誤送信しにくい
  • セキュリティ確保された領域を使う

既に触れている通り、共有している立て札を見に行き、そこに書き込むというスタイルの為、ご送信の概念がそもそもありません。「うっかり全員返信」も基本的にありません。

また、ビジネスチャットは社内と言う閉じられた空間で使うために、セキュリティ面で安全です。外部からメッセージの内容を読み取られる心配もありません。メールの場合は誤送信をしなくても、メールの内容を読み取られる可能性がありますが、社内ネットワークを利用するビジネスチャットの場合は、閉じられた空間である分、セキュリティ面で強固であるというメリットがあります。

ビジネスチャットの注意点3つ

スペースやグループの乱立に警戒する必要がある

これまで主にメールと対比する形でビジネスチャットのメリットを解説してきましたが、ここで注意点があります。それは会議室の概念であるスペースやグループの概念であるコミュニティを乱立させないことです。似たような立て札が増えると、だんだんと関係ないメッセージが生まれてきてしまいます。少人数のコミュニティで活発に議論していたはずが、関連メンバーと言うだけでどんど人を増やすと、自分が直接関係ないメッセージが増えてきてしまうのです。

関係者しかいない、すべてのメッセージは自分宛と言う古瀬ぷ都が崩れ、すべてのメッセージが全員CC状態になってしまうのを防がないと、ビジネスチャットのメリットが大きくそがれてしまうことになります。

また似たようなスペースが複数できることにより、同じ話題が複数のスペースに分散してしまうという、非常に効率の悪いことが起きる可能性が出てきます。くれぐれもスペースの乱立には気を付けましょう。

アーカイブできないので昔の話題は探すのが難しい場合がある

ビジネスチャットはずっと同じ立て札に書き続けていくため、メールのように既読メールを既読フォルダに移すという概念がありません。そのため、大昔の内容になると検索が難しくなってしまう場合があります。これは要注意で、決定事項だけでは議事録としてアーカイブ用にメールで配信するといった、使い分けで対応をする必要があります。

普及を促すのと運用ルールの普及を同時に進めなくてはならない

上記のようなスペースの乱立を防いだり、決定事項だけでは議事録をメールで配信するといった、職場職場でのルール作りが必要になってきます。ルールを作ると普及しにくくなる一方、普及が進んでからルールを浸透させるのは難しいというジレンマがあり、ルールを浸透させながら普及させていく必要があるという注意点があります。

これは職場の自主性に任せていては難しいため、普及役を定めるのがおすすめです。職場ごとに伝道者をたて、その人に普及の旗振り役を務めてもらうのです。このような普及者の事をエバンジェリストと言ったりします。

ビジネスチャットとは何か、メリット注意点まとめ

以上の内容を非常にざっくりとまとめると下記の通りです。

  • ビジネスチャットは人と人の間に立て札を立てて、情報を共有する
  • リスク回避、無駄の削減、付加価値の向上により生産性向上を見込むことができる
  • セキュリティ面でのメリットもある
  • 普及とルールが必要
  • 普及には普及の旗振り役が必要

低い投資コストでできる生産性向上ツールです。まずはビジネスチャットの導入と社内電話の廃止から始めてみませんか?

*1:マークダウンと言います。チャットツールによって異なりますが、ある記号で囲った区間にプログラムなど一塊の文字列を書いて共有することができます。