ゆんの業務改善ブログ

①生産性向上 ②業務改善 ③自動化 について情報発信しています。VBAプログラムは本当の初心者から他のアプリケーションを呼び出して使う上級者的な使い方まで幅広いレベルで解説していきます。

業務改善で手をつけるポイント25選

業務改善を行うときに手をつけるべきポイントを50個紹介します。

業務改善には既存プロセスの改善と、全く新たな業務プロセスを構築し導入、定着を図る場合があります。今回は比較的現場に受け入れられやすい、既存業務プロセスの改善を行うポイントをPQCDSMEのカテゴリにわけて紹介します。
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目次

業務改善で手をつけるべきポイント

業務改善とは業務の進め方を変えることでアウトプットやアウトプットまでにかかる過程を改善することを意味します。製造業や生産現場のカイゼンを語る時によくQCDと言う言葉が出てきます。ここではQCDをさらに拡張したPQCDSMEに改善施策を分類して業務改善で手をつけるべきポイントを紹介します。PQCDSMEの考え方は製造現場だけでなくオフィスワーク、物流現場、営業現場などあらゆる現場に適用できる考え方です。

PQCDSMEについて

PQCDSMEにカテゴリー分けして改善ポイントを紹介するので、前提のPQCDSMEの内容を簡潔に説明します。

  • P:Productivity

生産性のこと。製造業で生産性と言えば普通は時間当たりにどれくらいのモノが製造できるか、と言う意味です。1時間当たり100台生産できるところ、110台が生産できるようになったとすれば、10%の生産性向上と言う事になります。これは狭義の生産性です。広義には生産性とは付加価値のことです。付加価値とは大まかに言うと粗利益のことです。100台生産できていたものが110台生産できるようになると言う事は、粗利益額も10台分増えるので、その意味でも生産性向上になります。一方、広義の生産性で言った場合、粗利益のことなので、原価低減も生産性向上につながります。しかし、原価低減はCのコストで取り扱うので、ここでは売上高の向上につながる事を生産性と捉える事にします。

  • Q:Quality

品質のこと。品質には大きく分けて狙いの品質できばえの品質があります。狙いの品質は「こういうモノを作ろう」という設計品質のことです。例えば、2時間3000円の焼き肉食べ放題で高級和牛の希少部位を無制限に提供するのは商売が成り立たないとします。その場合、商品の質は過剰に良すぎることになります。この場合「2時間3000円の焼き肉食べ放題で高級和牛の希少部位を無制限に提供する」というのは狙いの品質が高すぎることになります。つまり狙いの品質は経営判断です。一方のできばえの品質は、狙いの品質にどれだけ近いか、と言う事です。

  • C:Cost

コストのことです。コストとは提供すべきモノやサービスを産み出すのに消費する経営資源のことです。経営資源とはヒト・モノ・カネのことですが、人件費はこのコストに含みません。含むべきは人件費ではなく、時間です。

  • D:Delivery

納品のことです。納品には納期だけで無く、どのように届けるかという提供方法を含みます。

  • S:Safety

安全のことです。従業員を労働災害からまもるという物理的な安全のことだけではなく、安心して心地よく働けるといった精神面での安全性も含みます。怪我や心理的な負担がない状態は衛生状態が良いと言います。衛生は失われて始めて大切さに気づき、保たれているときはその重要性が分からないため、維持、向上させるためにはそのための仕組み作りが必要となります。

  • M:Moral

士気のことです。Sで出てきた精心的な安全性が確保された上で、やりがいや自己成長につながる仕事ができているかどうかという事が課題とななります。

  • E:Environment

環境のことです。二酸化炭素排出による地球温暖化など地球規模のものから、騒音や大気汚染など近隣への環境への影響までを全て含めて企業の責任として捉える必要があります。

P:生産性に関する改善

広義の生産性改善ポイントを紹介します。生産性向上の施策は売上につながる作業を行うか、無駄な事を辞めることの2つの方向があります。

1. 会議資料作成を自動化する

PCを使ったオフィスワークの自動化の一つです。時間を削減します。VBAでグラフの更新からパワーポイントの作成までを自動化します。資料作成は「仕事をやってる感」が強いので満足しがちです。しかし、資料作成自体から産み出される付加価値はゼロです。有益な分析にヒトの時間を使えるよう、会議資料更新や作成は自動化しましょう。

2. ビジネスチャットを導入して報告・情報共有の会議をやめる

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会議をビジネスチャットでやれ、と言うわけではありません。ビジネスチャットを導入すると会議を減らすことができる、と言うお話です。課内会議から本部会議など様々な会議があります。その中で、最も先に避けるべきは業績や来月の予定など報告や情報共有が目的の会議です。情報共有はSlackやWebex Teamsといったビジネスチャットツールで共有すれば済むはずです。チャットは既読が付くので誰が資料に目を通したかが把握できます。

また、意思決定を行う会議の場合でもビジネスチャットで資料を予め共有しておけば、本題である意見交換、意思決定の部分にのみ時間を使う事ができ、会議がより充実したり、会議を短時間で終わらせる事ができるようになります。

またビジネスチャットを導入することにより、意見交換までチャットで行うところまで行けば、意思決定の会議ですら削減につながります。

そもそも、会議は多くの人の時間を同時に消費する、というコスト感覚を持つことが大事です。
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3. 朝礼をやめる

朝礼で意思決定や意見交換がされることはありません。完全なる情報共有です。前項で説明した会議と同様の理由で、ビジネスチャットを導入することにより朝礼を辞めることができます。さらに、時差勤務や短時間勤務制度を利用している人は朝礼に出ることができません。それではその人達は朝礼に参加できなかったことにより業務に支障をきたしているでしょうか。答えはNoです。実は朝礼は何の意味もありません。この時間を奪うという意味だけでも、即辞めるべきですが、朝礼中はずっと立っているため、疲れてしまいます。朝一番、いきなり疲れさせておいてそこから一日が始まる訳です。

工場や倉庫など、オフィスではない現場では点呼を取る必要があるかも知れません。しかし、それはホワイトボードにマグネットを置くといった工夫で対応できます。作業用の通達事項がある場合は、掲示板を使うことができます。このようにオフィスワーク以外の現場でも朝礼が辞められないか、短くできないかと言う検討を行う余地は十分にあると言えます。

4, 電話を辞める

ビジネスチャットを導入すると会議だけでなく、メールと電話も減ります。特に電話は相手のせっかくの集中を切れさせ、無遠慮に時間を奪います。電話がならない職場を目指すアプローチは大いに有効です。ただし、ビジネスチャットを導入するだけでは電話を辞めることはできません。もし、現在、社員一人一人に電話機が割り当てられているのであれば、部門内の電話機を一つだけのこして、個人の電話を全て回収しましょう。TeamsやSlackを導入すると同時に、2週間後に電話を回収する旨を周知します。ビジネスチャットを使ったことがある、というレベルから電話代わり、メール代わりになるまで持って行きます。そして、約束の2週間後に約束通り一気に電話を回収してしまいます。

5. プリントアウトとコピーを辞める

資料のプリントアウトとコピーは無駄なので辞めます。これは時間と紙代、インク/トナー代の削減につながります。紙代、インク/トナー代の削減だけを見るとコストに分類する方が良さそうですが、時間効果のホウが大きいので生産性に分類しました。

なぜ時間削減につながるかというと、3つの手間が掛かるからです。まずプリントアウトする事そのものの手間です。次にいつかはその紙が要らなくなるときが来るため、捨てる手間が生じます。また、捨てないと机の上や引き出しの中が紙だらけになっていきます。すると、必要な書類がなかなか出てこないため、探すという究極にムダな時間と手間が生じることになります。

Q:品質に関する改善

品質に関する業務改善は下記の二つの方向があります。

  • 狙いの品質の「狙い」を見直す
  • できばえの品質を達成しやすい環境を構築する

なお、品質というと提供するモノやサービスに関する品質のことをイメージしがちですが、オフィスワークや工場、倉庫と言ったあらゆる現場での作業に適用される概念です。ここでは作業品質としてとらえて品質に関する改善策を見ていきます。

6. 商品の価値と価格を確認する仕組みを構築する

狙いの品質は価格設定と表裏一体です。価格に見合った価値を提供します。そのため、狙うべき価値は過剰でも不足でもダメです。ファストフードのハンバーガーに高級和牛を使っていては商売になりません。しかし、健康志向や高級志向が高まり、需要、ひいては市場規模がビジネス可能な規模まで成長するようであれば、そこに参入すべきという経営判断もあり得ます。

その時は高い狙いの品質に見合う価格をつけることとなります。ブランドも別のものを立ち上げる必要がある場合も想定されます。そのように時代の流れやニーズをくみ取る為の仕組みを構築しておくことが有効です。この辺りは経営者など一部の人の感覚や経験、情報処理能力といった個人の能力に頼っている場合が多いと思います。

しかし、仕組みとして構築しておくことでビジネスチャンスを逃さず者にしていくことができます。例えば、ニュースの内容を自動で取得してデータベースに格納したりTwitterである単語を含むツイートを自動で取得してデータベース化し、分析することなどが考えられます。

7. PC作業を自動化する

1では会議資料作成の自動化について触れました。会議資料に限らず、データの集計や売上伝票の処理といったオフィスワークは多くの場合自動化することができます。自動化することにより、コンピューターが機械的に作業することになるので、人間が手作業で作業を行ってミスをする、というようなことを防ぐことができます。また、自動化はミスを防ぐだけでなく誰がプログラムを実行しても同じ結果となります。つまり、条件が同じであれば、毎回同じ結果が出力されます。このことはまさにできばえの品質が安定することにつながります。

8. 倉庫ピッキング作業を自動化する

オフィスワーク以外でも自動化による品質安定のメリットがある事に変わりはありません。ある程度の投資が必要となりますが、倉庫現場ではピッキング作業を自動化することができます。ピッキングとは作業員が倉庫の棚からモノを取り出す作業のことです。その差異伸張に品番を確認したりバーコードで読み取ると言ったポカよけの工夫がされていますが、どうしても隣の商品をピックしたり数量を間違ってしまったりと言うことが置きます。これを自動搬送機と自動倉庫を利用することで、ピッキング作業を自動化することができます。ピッキング伝票をスキャンすれば、必要なモノを必要な数量だけ機会がピックして持ってきてくれるため、人間が仲介するところがなく、ミスが起きる場所がありません。

9. 生産を自動化する

工場の生産を自動化します。人間の作業は生産ではなく生産する機械の管理に変わります。生産を自動化するには生産に関わる機械を導入するだけでなく、材料を輸送する搬送機の導入なども必要となります。しかし、これらを一度に導入する必要はありません。まずは自動搬送機で材料を運ぶところのみを自動化する、など部分的に自動化を導入し、徐々に拡張していくこともできます。

なお、人間が作業していた時の導線をそのまま搬送機に移動させるのではなく、新たに自動搬送機が移動できるのに適したレイアウトを設計する必要があります。

10. 作業手順を現場に作り直させる

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オフィスワークであれば業務手順書、工場や倉庫であれば作業標準書と言った様な作業の進め方のマニュアルが存在します。しかし、私の経験からいって、全ての作業がマニュアル通りに実行されている職場はひとつとしてありません。守られなければならない手順もしばしば無視されています。

しかし、それは現場が悪意を持ってマニュアルを無視しているわけではなく、ムダのある作業だったり、ちょっとしたコツというようなモノがあってそれを採用している為にマニュアルとは異なる作業になっています。そしてそれを責任者は知らないか知らないフリをしているかのどちらかになっているという状態です。

自動化などの改善施策は実は現場がマニュアル通りに作業を行っているからこそ、その作業を自動化に落とし込んでいくことができます。実際は違う手順なので自動化することができなくなってしまいます。それであれば、実際の本当の作業をぶっちゃけてその作業をマニュアルにしてしまえばいいのです。あるいは自動化することを前提にマニュアルを作り直すことも考えられます。「自動化するために、こういう手順に変える」ということです。

このようにマニュアル通り作業するのではなく、実際の作業をマニュアルにすると言うような作業は現場でしかできません。ぶっちゃけベースで現場に作業をマニュアル化してもらい生きたマニュアルにする事で、作業品質が安定し、ひいては自動化などの改善施策につながっていきます。

C:コストに関する改善

コストに関する改善施策を紹介します。コストに人件費は含みません。

11. 緊急輸送を減らす

クーリエ便などの緊急出荷をすると輸送費が高く付きます。緊急となる前に予め必要な場所に必要なモノを必要な数量だけ届けておくことにより、輸送費を削減することができます。とはいえ、このことはサプライチェーンマネジメントの永久の課題とも言える難題で様々なポイントをクリアしないと実現しません。

12. 調達先を再検討する

材料費を下げる施策として調達先を再検討することが挙げられます。調達先をひとつに絞り、発注量を増やすことでボリュームディスカウントを得る交渉をする方法と、複数購買先を設定し、互いに単価を競わせる方法があります。調達先を一つに絞ることはトラブルがあったときに調達ができなくなると言うリスクを追うことにつながるため、基本的には調達先を増やして競争させる事によって単価を下げる方法がおすすめです。

また、ボリュームディスカウントについては得られればラッキーくらいで考えるようにします。ボリュームディスカウントのために調達量を増やすというのは、設計変更で使えなくなり廃棄せざるを得なくなるなど、在庫リスクを抱えることにつながるため、オススメしません。

13. 広告宣伝費の使い途を再検討する

テレビCMや町中の看板、電車内のアナウンス、新聞などのブロードキャスト型の広告は費用対効果を測定する事が不可能です。多額の宣伝費用が役に立ったのかどうか検証することが困難なので、広告の打ち方を再検討する余地があります。現在はスマホの普及で誰でもいつでもインターネットに接続している状態と言えます。

そのため、ネット上の広告を選択肢に入れることが有効です。上述の広告と異なり、ユーザーの目に触れた回数やクリックされた回数が分かるため、役に立った分だけ広告費を支払う事ができます。広告の出す側のサブスクリプションとも言えます。広告費にムダがなく、また、どの広告が売上に寄与したかも分かるため、広告宣伝費の使い道を検討する余地は大きいと言えます。

D:納品に関する改善

Dは「納期」と解説されることが一般的です。約束の期日に間に合うかどうか、と言う視点です。しかし、納期だけでは視野が狭いため、この記事ではDを納品という概念で捉えます。納期はもちろんのことどのようにして届けるかと言う事まで考えます。

14. 輸送タイミングを検討する

Cのところで輸送費の説明をしましたが、近くの拠点まで予め輸送しておくことにより、緊急輸送の頻度や量を減らすことができます。また近くの拠点まで輸送をしておくことにより、必要になってから納入されるまでのリードタイムが短縮できるメリットもあります。近くの拠点まで輸送しておくと言うことは、一時的に在庫をストックしておく拠点が必要となりますので、それに必要なコストとのバランスで検討します。

15. 需要予測の精度を高める

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いつ、どの程度の需要があるかを精度よく予測できれば緊急輸送の発生を抑えることができます。需要予測に単なる過去の実績の平均値を使っている職場を見かけてきましたが、季節性の変動やイベントによる需要変動を盛り込むことによって需要予測の精度を高めることができます。

近年ではディープラーニングの手法を用いて需要予測を行う場合もありますが、ディープラーニングを行うためには豊富な過去のデータが必要なので、適用できる職場はあまり存在しません。ARIMAモデルや一時平滑指数法といった有名なモデルを季節指数で補正するなどの工夫をして、予測精度を高めていきましょう。

16. 安全在庫の概念を導入する

いくら需要予測の精度を高めても、予測が実際の需要数とぴったり一致し続けることはありません。需要予測は当てものではありません。そこで、誤差があることを前提に、どの程度の欠品を許容するかを決め、その欠品率を達成するための在庫を需要予測分とは別に余分に持つことにします。これを安全在庫と言います。

この安全在庫の考え方はノリ、経験、感で発注担当者が決めている場合があります。あるいは一見まともに見える「X日分の在庫を持つことにしている」という考え方もX日の根拠がありません。結局、ノリ、経験、感です。この安全在庫の設定に統計学的な考え方を導入することで、安全在庫を必要かつ十分で最低限の量に設定することができます。

在庫水準を低く抑えることは、設計変更に伴う古い在庫の廃棄リスク低減やきゃしゅフロー改善の効果を持ちます。

17. 輸送方針を見直す

以下のような輸送方針を見直すことでより付加価値の高い輸送を実現できる可能性があります。

  • まとめて運ぶのか、仕上がったモノから順に運ぶのか
  • 自社の物流網を使うのか、輸送業者に委託するのか
  • 物流御者とは年間の法人契約を結ぶのか、スポットでの依頼にするのか

納品に関しては輸送コストの観点も大事ですが、どのように輸送するのが提供する商品の価値を最大化するのかと言う観点を持つようにします。

18. 倉庫拠点戦略を見直す

倉庫拠点を持つということは、自社倉庫を持つ場合でもサードパーティ倉庫を持つ場合でも倉庫運用コストがかかります。しかし、複数の倉庫拠点を持つことにより、近場まであらかじめ運ぶことができるため、緊急輸送を減らしたり、長距離の輸送を減らすことによるコスト削減効果が得られる場合があります。倉庫拠点数と輸送費用はトレードオフの関係があるため、どこに倉庫を配置するか、全部で何拠点配置するかはいろいろとシミュレーションを行うと、現在よりトータルのコストが抑えられる可能性が高いです。理由は、はじめて倉庫拠点を設置したときと現在では輸送の内容や輸送手段、輸送先の内訳などが変わっているためです。

S:安全に関する改善

従業員の安全は会社の責務です。労働災害の発生は世間の目も厳しく、また大切な従業員が働けなくなることは会社にとっても大きな損害となります。工場や倉庫では過去の経験から様々な労働災害の防止策が図られていますが、オフィスではおろそかになっている場合があります。

19. ルール作りを行う

たとえば下記のようなルールが考えられます。

  • 個人でカッターを所持することは禁止する。カッターを使うときは軍手をはめる。
  • 雨の日は階段ではなくエレベータを利用する
  • 階段昇降時は手すりを持つ

このようなことをルールとして決めるなどと言うのはあほらしいと思うかもしれません。しかし、怪我をすると、健康であることのありがたみがわかります。そして怪我をしてからをしてからでは手遅れです。

20. そもそも怪我しないようにしておく

かがんでいる状態の人がいる時に、別の人が上のキャビネットを開け、かがんでいる人が立った時にキャビネットの扉の角に頭をぶつけて何針か縫うという労働災害を聞いたことがあります。「そんなことするなよ」と言いたくなりますし、実際その通りです。しかし人間はアホで気が利かないものだという前提のもと、とがってるところには緩衝材をつけておく、と言うような予防策を打っておくことが必要です。曲がり角にはミラーを設置する、階段には手すりを設置するなど、考えられる事はいくらでもあります。

M:士気に関する改善

士気とはやる気の事です。自然にやる気、やりがいが湧き出てくるような職場にしていくことが非常に大切です。

21. ノルマを作らない

ノルマは従業員のやる気を削ぎます。プレッシャーになることはあってもモチベーションにつながることはありません。またプレッシャーが営業成績などにつながることもありません。

22. 目標設定にこだわる

目標設定は重要です。高すぎる目標を立てるとやる気がそがれます。低すぎる目標は意味がありません。意味が感じられる、チャレンジングな高めの目標を設定するようにします。「目標を聞かれたら現在の売上より2桁多い数字を言うようにする」というような話もありますが、それは自分自身に課す目標の話であって、部門や他人が達成するための目標を高すぎるものにしてはいけません。

23. 自分の成長を感じられる工夫をする

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人間には自己実現の欲求と言うのがあり、自分の成長が感じられたり目指す姿に慣れた時に非常に大きな喜びを感じます。人間は本来成長したり勉強したりすることが好きな動物です。つまり、「自分の仕事は誰にでもできる仕事だ」「この仕事をしても何のスキルも身につかない」と思うようではその仕事を好きになることはできません。そして好きではない仕事で成果を残すことはできません。

自分の成長を感じられるようにするには、現在の実力でできることよりやや難しいことをさせたり、まだ経験したことがない仕事を経験させたりする必要があります。そしてその機会と場を作ることと、達成できるようにフォローする事が上司の重要な仕事となります。会社の経費で研修やセミナーに参加させたりすることもモチベーションを上げることには有効です。

そして何より、部下に、期待しているということを伝え、やる気を出させつつ責任感を持たせるようにすることが大切です。

24. 人間関係の風通しを良くする

結局最終的には人間関係です。どんなに仕事ができても自分の成長を感じられても上司や周囲との人間関係が良好でなければその職場で仕事を続けることは困難ですし、無理して続ける必要もありません。なるべく多くの人と話すように心がけるといった地道な努力が必要です。

E:環境に関する改善

環境とは様々な意味がありますが、ここでは職場環境ではなく、社会的な環境ととらえます。たとえば工場が排出する二酸化炭素や汚水などを削減するといった対応が必要と言うことです。

25. 改善提案を評価する

実は汚水の削減や二酸化炭素低減を進めることは環境にやさしいだけではなくコスト削減につながります。社会からの評価と言う非常に大きな無形の効果もあるのですが、ここで言いたいのは実際の経費のコストの事です。たとえば汚水削減は浄化コスト削減になります。

そもそも汚水が多いということは無駄な処理が発生しているということです。効率よく水を使ったり、自浄装置やフィルタで汚水になるのを遅らせたり、そもそもの水の使用量を減らすことができれば水道代が浮きます。

汚水削減のような改善は最先端技術などではなく、従来の日本型のカイゼン活動で削減することができます。貯水槽の洗浄タイミングや水の輸送ルート、フィルタの設置場所の変更といった地道な努力で環境の負荷をへらしていきます。そしてこのような改善提案を評価することでモチベーションにつなげていきます。

業務改善で手をつけるべきポイントまとめ

この記事では様々な改善ポイントを紹介してきました。職場によって改善活動ができるポイントは異なりますが、いくらでも改善ポイントはあります。この記事で紹介されたことだけではなく、この記事の改善例に着想を得て、新たな改善を提案したり取り組んだりしていきましょう。