業務を進めていく上で部門ごとの目標となるKPIのうち、経営課題のひとつであるサプライチェーンマネジメントを強化するロジスティクスKPIの設定方法を解説します。
目次
サプライチェーンを強化するロジスティクスKPI
サプライチェーンを強化するとは
サプライチェーンとは材料の調達から販売までの各拠点(ノード)とその間をつなぐ輸送(モード)を鎖に見立てた表現です。これを強化すると言うことは、より無駄のない拠点の配置と拠点間の組み合わせを構築したり、拠点の機能を設計したりすることに、よってコストの削減や柔軟な配送手段への対応、リードタイムの短縮、在庫削減と言った改善を行う事です。
経営指標に直接影響する施策もあれば、間接的な場合もあります。改善すべき経営課題に応じた施策を打てるようなKPIを設定すると言うことが、KPIを立案する上でのポイントとなります。
ロジスティクスKPIとは
ロジスティクスKPIとは、その名の通りロジスティクスに関するKPIの事です。ロジスティクスとはサプライチェーンマネジメントを遂行するための機能です。
サプライチェーンマネジメントとは、材料の調達から販売までの流れを管理し、改善するには一連の取り組みです。それを可能にするのがロジスティクスと言う機能であり、サプライチェーン上の各拠点の全体最適を実現するための機能です。例えば倉庫を統合したり分割したりと言った事が考えられます。
ロジスティクスKPIの立て方
KPIは経営指標を各部門にブレイクダウンした指標ですから、まずは自部門が会社の経営方針のどの部分にどのように貢献していくのかを決める必要があります。
この段階で会社の経営方針と関係の無いKPIを選択してしまうと、従業員の業務活動の結果が業績に反映されず、貢献度がわからないと言うことになってしまいます。ここで、経営指標とKPIとの関連付けをしっかりと行うようにしましょう。
具体的な手順は下記のようになります。
- 会社方針やKGI*1を確認し、貢献する方向性を決定する
- KGIをKPIにブレイクダウンする
- KPIを達成するためのアクションを策定する
- 策定したアクションがKPI達成に繋がり、KGIに影響を与えるか確認する
- 自部門や特定の部門以外への関係者との連携を行う
ロジスティクスKPIを立案するに当たっては、時部門や特定の部門だけでなく、関連する組織全体との連携が必要となります。サプライチェーンマネジメントはサプライチェーン全体の最適化を図るためです。サプライチェーンは部分部分に着目すると利害が対立する場面が多々あるため、全体最適を図るにはKPI設定の意図について関連部門と合意をする必要があります。
ロジスティクスKPI設定の失敗
ロジスティクスKPIの設定に失敗するパターンを確認しておきます。
- 設定したKPIがKGIと関係ないため、目標を達成しても成果が経営指標に影響しない
- KPIとKGIの関係が分かりにくいため、従業員のモチベーションが上がらない
- KPIから実務に落とし込むことができずないため、従業員がKPIを自分の数字として捉える事ができない
- 全体最適ではなく、部分最適の指標をKPIにしてしまっている
計画段階での失敗から従業員への落とし込み、関連部門の調整と言ったあらゆる面を考慮して始めてサプライチェーンを強化するロジスティクスKPIを立案することができます。
サプライチェーンを強化するロジスティクスKPIの立て方まとめ
この記事の内容をまとめると下記の通りです。
- 「サプライチェーンを強化する」とはより無駄のない拠点の配置と拠点間の組み合わせを構築などを通して、経営改善に寄与すること
- ロジスティクスKPIとはサプライチェーン上の各拠点の全体最適を実現するための機能であるロジスティクスに関するKPIで、全体最適を目指した目標設定を行う事が重要
- KPIの設定に失敗しないためには、立案から部門の従業員への落とし込み、関連組織との調整が必要
全体最適に気を配ったロジスティクスKPIを立案するようにしましょう。
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*1:Key Goal Indicator:重要目標達成指標。会社全体の目標数値