一般にSCMと呼ばれるサプライチェーンマネジメントという言葉を解説します。サプライチェーンの意味からサプライチェーンにおける業務改善の取り組み方についても解説していきます。
目次
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは
サプライチェーンマネジメントとは何なのかについて解説します。各単語の頭文字を取って、SCMと呼びます。SCMという略語も一般的に使う言葉です。
SCM概要
SCMとはサプライチェーンをマネジメントすることです。サプライとは供給すると言う意味です。チェーンとは鎖と言う意味です。マネジメントとは管理する、つまり、うまくいくように運用を行うと言う意味です。
サプライチェーンとは
サプライチェーンは供給の鎖と言う事で、モノが流れていく過程を鎖に見立てた言葉です。サプライチェーンがイメージできる様に模式図を掲載します。
一つの例として製造業のサプライチェーンの模式図を示しました。上の図のように材料をベンダーから仕入れ、工場で製品を生産し、一旦倉庫に移します。そこから受注に応じて客先に出荷していきます。これがサプライチェーンのイメージです。材料仕入れ先、工場、倉庫、客先のいずれも複数存在する場合が想定されますが、理解のための模式図のため、簡略化しています。
そして、材料仕入れ先、工場、倉庫、客先の様な模式図の中で○で示した拠点のことをノードと言います。そしてノードとノードをつなぐ線の部分をリンクと言います。リンクは輸送を意味します。そしてリンクの移動手段をモードと言います。例えば鉄道、トラック、航空便、船便、クーリエ便*1などが考えられます。
サプライチェーンをマネジメントするとは何をする事なのか
サプライチェーンが何か分かったので、それをマネジメントするとはどういうことか確認します。サプライチェーンを管理、運用すると言うことは各ノードやリンクを全体最適になるように構成し運用していくことです。材料の仕入れ先の拠点はどこに存在するのか、自社工場はどこに存在するのか、そして材料仕入れ先から工場まではどのようにして輸送を行うのか。1週間に一度輸送するのか、それとも、輸送頻度を1ヶ月に一度にして輸送費を削減するのか、他の材料仕入れ先と輸送タイミングを同期してまとめて極力輸送を抑えるのか、と言った様なことを総合的に判断してノードとリンクを設計していきます。
そして運用面では、例えば仕入れ先の納入遅延が起きた場合に、遅れを取り戻す手段として材料仕入れ先と工場の間の輸送リードタイムを短くするために出荷方法をより速い手段に変更することがあるかも知れません。その場合はどのような判断基準でどのような輸送方法に切り替えるのかと言った基準を設けたり、実際に輸送方法を切り替える運用手順を決めたり、運用を行って行きます。
ここでは材料仕入れ先と工場というノードとその間のリンクを例に説明しましたが、これをサプライチェーン全体に対して行って行きます。これがサプライチェーンをマネジメントすると言う事です。
SCMにおける業務改善活動
SCMはロジスティクスの効率を最大限高めるために必須の経営手段です。この領域で改善を図ることは非常に重要で、また考えられる改善の施策も多岐にわたります。ここでは一部を紹介します。ここで紹介しているモノだけでなく自由な発想で色々なシミュレーションをすることでコスト削減や効率化に寄与する施策が立案出来るようになりましょう。
マネジメントの視点からノード・リンク・モードの最適な組み合わせを探る
経営視点でSCMを改善するメインの施策がノードとリンク、モードの組み合わせの最適化を図ることです。物流部門の担当者だと輸送コストにばかり減らそうとしたり、倉庫に保存してある在庫の回転期間の短縮施策ばかり検討したり、自分の担当する部分の経営管理指標にのみ意識を集中しがちです。しかし、全体最適を達成するべく、輸送コスト倉庫の在庫の持ち方、倉庫拠点の運営経費などを総合的に勘案してベストな組み合わせを検討していく事が重要です。
例えば、倉庫拠点を増やすことによって、倉庫の運営費は増えますが、輸送コストが下がるので結果的にコストは下がる、と言った様なことです。
各ノードにおける改善施策を現場に落とし込む
各ノードはそれぞれの拠点なので、それぞれに改善の施策があります。経営視点という広い視野でSCMの最適化を図った後は、それぞれの現場での改善をボトムアップで仕上げていきます。例えば倉庫であれば、ピックアップの導線の改善や受け入れ検収の効率化と言った様な現場の改善施策です。
SCMまとめ
以上、SCMの解説とSCMにおける業務改善施策を説明してきました。内容をまとめると下記の通りです。
- SCMはサプライチェーンマネジメントの略で、物流、ロジスティクスを一つの鎖のように見立てて管理を行う事
- SCMはノードとリンク、モードを管理する事で達成できる
- SCMはロジスティクスの効率を最大限高めるために必要な経営手段
- SCMにおける業務改善を行うには、ノード、リンク、モードの最適な組み合わせを探る
- 最適なノード、リンク、モードの組み合わせを達成したら、各ノードにおける業務改善施策をボトムアップで行う
*1:国際宅急便のこと