ゆんの業務改善ブログ

①生産性向上 ②業務改善 ③自動化 について情報発信しています。VBAプログラムは本当の初心者から他のアプリケーションを呼び出して使う上級者的な使い方まで幅広いレベルで解説していきます。

業務改善 やってしまいがちな効果測定の罠

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QC活動や業務改善の施策を実施した後、効果の測定はできていますか?

今回は業務改善のうち、自動化による効率改善の効果測定について解説します。

目次

効果測定の目的

効果測定の目的は次につなげる事です。次につなげるとは、ある施策をしたときに、経費が削減できれば、それを推進しようとかもっと改善しよう、と言う事になります。逆に経費が削減できなければ、想定が実態と違ったと言う事であり、

反省につながります。副産物的に組織や個人が評価されることになります。自分や時部門の評価を上げる事がモチベーションにもつながります。このことから施策を打つからには効果の測定は是非ともするべきです。これは受験生の模擬試験と似ているかも知れません。

効果測定の罠

効果測定には罠があります。この項では効果測定の罠について見ていきます。

効果測定とは何をする事なのか

効果測定とは具体的に何をする事なのかというと、業務改善施策によっていくら儲かったのかを計算することです。儲けとは売上ではなく、利益のことです。売上が増えてもそれ以上に経費が増えてしまえば利益は減ってしまいます。実施した改善施策がどのようにして、どれだけ利益に貢献をしたのかを測定する事が重要です。

そして、一過性ではなく、継続的に利益を向上させる仕組みを構築することが価値の高い改善策となります。よって、今期のみに適用できる施策よりも、来年も使える様な仕組みの導入や改善をより高く評価する必要があります。

捕らぬ狸の皮算用

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業務改善で最も問題となるのが効果測定に失敗してしまうことです。効果測定は将来につながる施策を評価する事にあり、その施策を継続するかの判断となります。よって、誤った効果測定は失敗した業務改善より罪が重いと言えます。なぜならば取らぬ狸の皮算用の業務改善施策が評価されてしまえば、効果の低いあるいは全くない施策が来期も継続されてしまう可能性がある為です。

想定された無形の効果には意味がない

捕らぬ狸の皮算用の典型例が根拠の薄い想定された無形の効果です。

効率化とは例えば作業の自動化によって早く仕事が終わるとか、ミスがなくなったのでチェックが必要なくなる、と言ったようなことです。これらは労働時間の削減施策です。毎月の残業時間が20時間から5時間に減ったとすれば15時間の時間削減となります。これは金額に換算することができるのでOKです。しかし、もともと定時上がりが当たり前の職場ではどうでしょうか。じゃあ、来月からさようなら、とはならないので、削減経費ゼロです*1。ここが罠です。実際に会社から流出した金額はゼロなのに、15時間分の経費削減を成果としてあげていいのでしょうか。答えはNoです。

それではOKかというと、「削減した15時間を使って、営業をしたら○万円の売上をあげる事ができて、△万円営業利益が向上しました」です。この場合△万円が効果となります。

こう考えてくると、誰の業務を自動化するのがよいか、と言う視点が生まれてきます。

なぜ業務改善の効果測定が難しいか

前項のように削減した業務時間を使ってどのような利益向上策を実施するかどうかまで議論できることが理想です。一方でそれは大変難しい事です。なぜならその削減時間をどう生かすかは分からないからです。別の要因で空いた時間がなくなってしまうかもしれません。理想を達成するとなると、効果の測定は事実上できないのでしょうか。理想を忘れずに現実的な策を考えると、自動化する業務を担当する人と一つ約束をするのです。

無形の効果に満足するくらいなら目標の設定は達成か未達成かの2択でいい

【時間空いたら、今まで手が回っていない○○、やってくれますか?】

業務自動化から一ヶ月後、約束していた○○ができていたかレビューしましょう。この○○に当たる業務がどれくらいの価値があるのかを予め定めておくのです。そうすれば、業務効率化の効果が測定できます。理想の効果の測定にかなり、近いモノです。

業務改善の効果を○万円と設定できないのであれば、その空いた時間で何をするのかを設定する。それができたか、できなかったか。取らぬ狸の皮算用の試算をするくらいなら、業務改善の効果の目標設定と効果の測定は2択でも構わないのです。

目的から逆算した施策

ここまで考えると目的を先に考えると言う視点が出てきます。○○をすれば△△の経費削減ができるはずだ。でも××が忙しくて、できない!だったら××を業務改善、自動化すれば良いのです。もちろん効果金額は△△です。

改善意識や風土がない組織や人がクライアントの場合の対応

業務改善を依頼してきた人が問題のある場合の対応として考えられることは、ひとつには相手にしないことです。それでもやるなら、代わりに何をするのかを約束することです。

間違っても、業務改善の効果を削減時間で測定してはいけません。上司に説明するときも、具体的に削減時間がどんな次のアクションにつながったのか分かる方が良いでしょう。

業務改善の効果測定の罠まとめ

この記事の内容をまとめます。

  • 効果測定とは施策によっていくら儲かったのかを計算すること
  • 捕らぬ狸の皮算用は、業務改善施策の失敗よりも罪が重い
  • 想定された無形の効果には意味が無い
  • 無形の効果に満足するくらいなら目標の設定は達成か未達成かの二択でいい

効果測定の罠に気をつけながら業務改善に取り組んで行きましょう。

<関連記事>

*1:筆者はそもそも労働時間の削減を業務改善施策として挙げること自体が反対の立場です。なぜならば労働時間は付加価値を高める源泉と捉えるからです。特定の作業が早く終わるのは効率化ができていることになりますが、労働時間=削減すべき時間ととえら得てしまうと、だったら最初から働かなくてイイと言うことになってしまいます。人と時間は価値を生む資産であるという原点を忘れないようにしないと、業務時間=悪と言うような誤った考えになってしまい、改善施策もぼけてしまう事になります。この点には注意が必要です