ゆんの業務改善ブログ

①生産性向上 ②業務改善 ③自動化 について情報発信しています。VBAプログラムは本当の初心者から他のアプリケーションを呼び出して使う上級者的な使い方まで幅広いレベルで解説していきます。

【在庫管理】PSIシートから調達数量を求める簡単な考え方

PSIシートから調達数量を求める方法を解説します。PSIシートについては、【在庫管理】計画業務をうまく回すためのPSIシートで目的や意義などを解説しています。

目次

PSIシートから調達数量を求める方法

それではPSIシートを用いて調達すべき数量を求める方法を解説します。

PSIシートを完成させる

まずはPSIシートを完成させる必要があります。PSIシートのフォーマットが容易で来たらさっそく一番左に現在の在庫数量を記入しましょう。

供給見込み(需要予測数)を埋める

在庫数量が記入できたら次に供給見込み数(販売予定数、需要予測数など、職場に応じて読み替えてください)を埋めていきます。今回の例では、実績値として2020/2/1の在庫数量100だけが実数として入力されています。調達計画と供給計画についは未記入なので0となっています。在庫数のセルには、前日の在庫数+調達数-計画数の式が入力されています。これから供給数とを埋めていくことで、まず、調達を行わなかった場合の在庫数の推移の表を作成していきます。

月初の在庫数量のみが入力されている
PSIシートの初期状態

ここでは簡単に毎日同じ数量を供給する予定であるとしていますが、ここは実際に予測した数字を入力します。

初期の在庫設定と需要予測数のみが埋まっている状態
PSIシートの供給見込みが埋まった状態

2/2~2/6の5日間は毎日10個が販売され、それ以降2/11までは毎日20個の需要が見込まれている場合、上のようなPSIシートとなります。このばあい、2/9に在庫が底をつき、10個の欠品が生じることがわかりました。

調達タイミングを決める

好きなタイミングで入庫させることができるのか、あるいは輸送コストを削減するために一か月に一回などまとめて入庫することに決めているのか、企業によっていろいろな戦略があるところです。今回は1週間に一回入庫があり、図示した範囲内では2/3と2/10の2回の入庫があるものとします。

狙いたい在庫水準を決めて調達数量を決める

次に、狙いたい在庫水準に合わせて調達数量を決めます。狙いたい在庫水準とは、経営方針としてどの程度の在庫を持つかということです。この値の設定方法に関しては別途解説しますが安全在庫という考え方が必要となります。今回の例では問題を簡単にするために、常に向こう一週間の在庫を割らないという在庫管理方針があるものと仮定して話を進めます。

入庫が2/3と2/10にあるとすでに決めました。入庫予定がないと仮定すると在庫は減り続けます。常に無効1週間の在庫を割らない在庫方針ということなのでそれに見合う数字を見つければよいことになります。

2/10に在庫が補充できるので、2/3の次に在庫が最低になるのは2/9です。2/7以降の供給予測数がずっと20個/日だとすると、2/9の時点で140個の在庫があればよいことになります。PSIシートによると調達数を更新していない時点で-10個の在庫、つまり10個の欠品となっているため、150個の補充を2/3に行えば、常に1週間分の在庫が確保できることになります。

というわけで、2/3に150個の入庫を計画すると、PSIシートは下のようになります。

PSIシートを利用して調達予定数を策定することができた
2/3の調達数が決まったPSIシート

これで2/9まで常に1週間分の在庫を確保することができます。次に同様にして2/10の調達数量を決めれば、次々に一週間に1度の調達予定数を求めることができます。

PSIシートから調達数量を求める方法まとめ

ここまで、エクセルで作成したPSIシートを用いて調達予定数を求める方法を解説してきました。手順をまとめると下記の通りです。

  • 自作のPSIシートに在庫数量実績を入力する
  • 需要予測の数値を入力する
  • キープしたい在庫水準を決める
  • 調達タイミングを決める
  • 次回調達タイミングの直前がキープしたい在庫水準ぎりぎりになるように直近の発注数量を確定する


この手順を繰り返すことで、次々に調達予定数量を求めることができます。しかし実際は需要は変動するものですし、生産計画もずれてしまうこともありますよね。特に需要予測は上に外れても下にハズれても在庫計画が狂います。勾配ならまだしもこれが、自社工場の生産計画であれば、生産計画を調整しなくてはなりません。

入庫から入庫までの期間よりも生産リードタイムや材料の調達リードタイムのほうが長いと、供給予測数と供給実績数の差が調達数量に伝達できず、在庫計画のさがどんどん大きくなってしまいます。この対応についても、今後、ブログで解説していきたいと思います。

それでは、PSIで適切な在庫計画実現に向けで改善を進めていきましょう。

<関連記事>

【在庫管理】計画業務をうまく回すためのPSIシート

モノを取り扱う企業であれば必ずと言って良いほど避けては通れない在庫管理。今回は在庫管理の本質を解説した上で、計画の肝とも言える、PSIシートを紹介します。

製造と販売の連携がうまく回っていないとお悩みの方や、これから計画業務の設計を検討する方の参考になればと思います。

ご意見、質問があればコメント欄にお願いします。

目次

自作PSIシートで計画業務をうまくまわす

在庫管理の本質は在庫というより、需要と供給のバランスの管理にあります。在庫は需要と供給の差を埋めるためのものであり、生産(あるいは調達)をどう計画するかが本質的な課題です。

それではその本質的な課題についての考察や、課題を解決するためのPSIシートについての解説に入っていきます。

計画業務の本質は生産調達

計画業務の本質は、何を、いつ、何個、生産するか、です。究極的にはこれにつきます。

在庫を切らさないようにモノを送り込む。そのために必要な調達をどのタイミングでどれだけ行うのか。これが本質です。

需要予測も重要ですがそれは、生産調達をいつ、どれだけ行うのかの計算に必要なのであって、あくまで生産調達をどのように行うかが、究極的に解決すべき課題です。

ましてやツールやシステムの良し悪しは、本質ではありません。画面が見やすかったり、需要予測の手法に高度なアルゴリズムが使われていたりするのは、補完的な機能です。

受給管理シート(PSI)シートとは

ここまで、ツールを自作する意義と反対派の意見、需給管理の本質について見てきました。ここから具体的にPSIシートとはどのようなものかについて見ていきます。

PSIシートとは調達(入庫)、供給(出庫)、在庫の3行からなる需給管理の為のフォーマットシートです。下図の例をご覧ください。

受給管理ができるシートをPSIシートという
PSIシートの例


上から順にP、S、Iに対応します。Pとは調達の事でProcurement、またはProductionの略です。供給は市場に供給することで、SupplyまたはSalesの略です。Iは在庫の事でInventoryの略です。

ここでは調達、供給、在庫と言っていますが、職場で普段使っている言葉に置き換えて読んで頂ければと思います。例えば、【生産、販売、在庫】や【調達、需要、在庫】と言っても問題ありません。

ポイントは入ってくる(入庫)、出ていく(出庫)、手元に残っている(在庫)、の3行があるということです。

PSIシートを自作する理由

この記事をご覧の方は調達や仕入れ、生産計画の効率化に関心があると思います。まずはERPの導入の前にPSIシートをエクセルで自作しようとする理由を整頓しておきます。

  • ERPは導入が高価で保守メンテナンス費もかかる
  • システムの保守メンテナンス期間が終了すると、新たな契約を結ぶか新たなERPを導入しなくてはならない
  • 業務が変更などに伴いシステムをカスタマイズすると高額の改修費用が発生する
  • システムの管理部門が必要となる

以上のように、ERPと呼ばれる基幹システムを導入するには多額の費用が掛かります。SAASというインターネットを通じて利用できるサービスの場合、既存システムを利用するので、買い切り型のシステムを導入するよりはるかに低コストでメンテナンスにも費用が掛からずに済むのでお勧めです。

しかし、さらにお手軽な方法として、目の前にPCがあるならその中にすでに組み込まれているエクセルがあるではありませんか。これを使わない手はありません。

エクセルであれば保守メンテナンス費用も掛かりませんし、専門のメンテナンス部隊も不要です。エクセルの仕様は数年に一度しか変わりませんし、基本的には広報互換性があるので、エクセルのバージョンが変わっても引き続き利用することが可能です。

さらに、規模が大きくなるなどして、将来的にSAASを利用することになったとしても、同様の機能をエクセルで作ったことがあるのであれば、どのようなシステムを導入したいのか、要件がはっきりした状態で、利用するSAASを検討することができます*1

このように、システム導入ありきではなく、改善を図るのであれば、まずは目の前にあるエクセルでやってみるというのが、PSIシート自作しようとする理由です。

エクセルによる計画の立案が目の敵にされる理由

前項で、まずはエクセルでPoCを作成する理由をまとめました。エクセルでツールを作る事を嫌う人がいることも事実です。この人たちの意見も一理あるので、実際の作業に入る前にエクセル反対派の意見もよく理解しておきましょう。エクセル反対派の意見は下記の通りです。

  • 「神エクセル」と揶揄される複雑な計算式が組み込まれたエクセルが出来上がる
  • エクセル職人しかメンテナンスできないツールが出来上がる
  • 基幹システムとは別にエクセルを開かなくてはならない

大きく分けて上記の3つが挙げられると思います。上の2つの根っこは同じで、属人性を高めてしまう恐れがあるということです。属人性とはある人に依存する度合い、という意味で、業務改善や自動化とは切っても切れない関係にある概念です。

つまり、ある便利ツールやエクセルシートを作成すると、そのエクセルを作った人しか使いこなせなかったり、メンテナンスができなくなるのではないか、という懸念です。

これに対する私の答えは、「そんなこと言ってたら、今までみんなが使ってたエクセル作業のファイルなんて全部属人化そのものですよ。あなたの作業後のエクセルファイルなんてあなたしか理解できませんよ」という感じです。

むしろエクセルをツールやシステムあるいはデータベースとして使うことによって、フォーマットが定まり、属人性は低下します。

3点目の「基幹システムとは別にエクセルを開かなくてはならない」は前者に比べてレベルの高い指摘です。もともと、ERPに需要予測や在庫管理の機能がついており、計画業務をそのシステムだけで完結できるのであれば、むしろエクセルは使うべきではない可能性が高いです。

しかし、それはすでに高額なERPが導入されている場合であり、今回の読者の想定からは外れます。(しかし、せっかく高額なERPが導入されているにもかかわらず、結局エクセルで計画業務自体は作業しているという場合も多いです)

エクセルで自作する手順

PSIシートの構造と、PSIシートを自作する意義が分かったので、実際にPSIシートをエクセルで作成してみましょう。まずはP、S、Iの3行を作ります。

受給管理を行うことができるのがPSIシート
再掲:PSIシート

次に入庫と出庫と在庫の関係の式をいれます。前の在庫に入庫の数字を足して、出庫の数を引き算すればOKです。

計算式を入れた在庫推移がわかるようになった
計算式とサンプルの数字を入れたPSIシート

数字を入力するのは調達と供給の部分です。在庫は月初の2020/2/1の部分のみ入力しています。供給の欄は需要予測を入れます。販売数量予測と言ってもよいでしょう。調達の欄には入庫予定のタイミングに入庫したい数量を入れます。月初以外の在庫数は計算で求めています。

前の在庫に入庫数を足して供給数を引いた数が次の在庫数になっていることを確認して下さい。このシートを作れば、供給としておまかな需要予測数があれば、どのタイミングで何個の調達を行う必要があるのかを求めることができます。

これがPSIシートの目的であり、計画の本質である「いつ、何個」生産(調達)すればよいかという問題を解くことができます。

少し工夫して便利にする

計算式が入っていればPSIシートとしては出来上がりですが、VBAで少しさわってあげればより便利に使うことがで切るようになります。工夫できる点としては下記のような点が考えられます。

  • 計算ボタンでPSIシートを更新するようにする ⇒ エクセル内に式を残さなくて済むようになる
  • 在庫切れ見込みから調達数量を求める
  • 上記、調達数量から注文書や製造指図書のようなフォーマットを出力する

まとめ

この記事の内容をまとめます。

  • 需給管理の本質的な解決はツールの良し悪しではない
  • 需給管理を改善するには高価なERP導入を見当する前に、エクセルでPSIシートを作成せよ
  • エクセル反対派の意見も知った上でツールを作成する
  • エクセルでPoCを作成することは、SAASの利用を見当するときにも役立つ
  • PSIシートはたったの3行。まずは自分で作ってみる
  • VBAが少しできるなら、自作のPSIシートに少し手を加えるだけで立派にツールとして使えるものになる

以上、まずはエクセルでPSIシートの作成。コストゼロで気軽に取り組める改善から取り組んでいきましょう。

<関連記事>

*1:仮のシステムを試しに作ってみて、自分たちの達成したいことができるのか、どのようなシステムを作るべきなのか、狙った効果は得られるのか、などを検討することをPoC(ピーオーシー、またはポック。Proof of Concept)といいます。

業務改善が専門の私が第4回 Japan IT Week 関西のセミナーを受けて思ったこと

2020年1月29日~31日にインテックス大阪で日程で開催された第4回Japan IT Weekに参加してきました。気づきや思うところがあったので、業務改善の視点から感想を書き残したいと思います。会場に行けなかった方や、業務改善、ITを利用した生産性向上、働き方改革に取り組む方の参考になればと思います。

目次

第4回Japan IT Weekの感想

イベント概要

第4回Japan IT Week 関西は下記の展示会を合同開催した催し物で合計約350社のIT企業が出展しました。

  • 第4回情報セキュリティEXPO
  • 第1回セールス自動化・CRM EXPO
  • 第4回クラウド業務改革EXPO
  • 第4回Web & デジタルマーケティングEXPO
  • 第3回次世代EC & 店舗EXPO
  • 第3回AI・業務自動化展
  • 第4回組込みシステム開発技術展
  • 第1回ソフトウェア & アプリ開発展
  • 第4回IoT/M2M展

かなりおなかいっぱいな感じでたくさんの出店です。およそ350社が出展されているということもあり、IT関連のニーズはほぼ賄えるのではないかと思いました。

毎年3回開催されているJapan IT Weekの関西バージョンということで、毎年インテックス大阪で開催されています。出展ブースでは商談スペースやデモンストレーションを見ることができるスペースが用意されていて、様々な技術に触れたり世の中の動向を知ることができます。

今回は出展ブースでの情報収集より、無料セミナー受講が目的だったのでそちらをメインに時間を使いました。

受講した講演

私が訪問したのは開催2日目の1/30でした。その日に開催されていた特別講演を受講しました。午前と午後の2コマ、各3本の合計6本の講演を受講しました。午前中の特別講演3本の収穫が特に大きかったので、簡単に私の感想を紹介します。講演内容の要約ではありません。

スマートワーク・業務効率化

こちらは大満足の3本建て講演で非常に内容の充実したものでした。

  • リコーにおけるAIの取り組み
  • RPAからAIへ、ビジネスプロセス変革を成功させる実践的な方法とは
  • 企業風土+ICTから変える「働き方改革」

の3本の講演でした。個別内容についての詳細は割愛しますが、3本の講演からの収穫(気づき)をざっくりまとめると下記の通りです。講演内容の要約ではなく、講演内容から私が感じたことのまとめです

◆ リコーにおけるAIの取り組み

  • データ量で優位に立ち、活用する。さらにデータが増えるというポジティブスパイラルを目指す
  • 差別化の源泉は特許ではないし、AIのアルゴリズムではない
  • 競合他社との差別化の源泉はこれまで培ってきた顧客、持っているデータや技術と既存AIアルゴリズムをどう組み合わせるかにある
  • 取り残されないようにするにはAI技術自体はどんどんオープンソースを使い、また、自分たちの知見もオープンにする。差別化の源泉はそこではないから
  • AI(機械学習・深層学習)を現場に浸透させるために、AIかかりつけ医を20拠点設置
  • AIかかりつけ医は業務時間中にKaggle*1に取り組むことができ、そこで得た賞金は自分のものにしてよいことにした

◆ RPAからAIへ、ビジネスプロセス変革を成功させる実践的な方法とは

  • 定型業務を自動化する、という発想ではRPAの導入やその他の自動化は限界がある
  • どの業務を自動化するか決めたら、既存のやり方にとらわれず、自動化できるように業務内容(ビジネス・サービスモデル)を設計していく
  • 非定型業務を自動化するために、自動化とアナリティクスを組み合わせた業務設計を行う
  • 現場からのボトムアップではこの作業はうまくいかないだろう。業務リーダー、エンジニア、プロジェクトリーダーといった業務自動化専門部隊が必要

◆ 企業風土+ICTから変える「働き方改革」

  • アジャイルとカイゼンを組み合わせて高速にリリースする
  • 求められているスピードは従来の2~3倍ではなく、200~300倍
  • ビジネスチャットの活用でミーティングが充実する
  • ミーティングが意思決定の場所になり、報告会ではなくなる
  • ミーティングの数自体が減っていく
  • メールはやめてしまおう。ビジネスチャット活性化の為にアンバサダーを設定してもいいかもしれない


第4回 Japan IT Week 関西のセミナーを受けて思ったことまとめ

午前中の特別講演で私が収穫と思った内容を共有してきました。とても有意義な内容だと思うので、いま一度読み返して、使えるところは使ってもらえればと思います。まとめの為にさらに集約すると下記のようになります。

  • AIかかりつけ医のような思い切った転換が必要
  • 差別化の源泉はアルゴリズムではなく、何とアルゴリズムを掛け合わせるか。また、何の既存技術、データを持っているか
  • 既存業務を自動化するのではなく、自動化できるように業務を設計する、という発想の転換が必要
  • アジャイルと改善を組み合わせる超高速リリース
  • メールをやめてしまう

以上、従来の枠組み、考え方にとらわれず、自由な発想で業務改善に取り組んでいきましょう。結局このマインドセットが一番大切です。これがないとITツールを使いこなせません。結局、ITを使いこなせるか、デジタルへの転換(DX)を果たせるかはマインドセットにかかっているといえるでしょう。

*1:データ分析の最適モデルを競い合うコンペ。企業が優秀な予測モデルを買い取る制度もある

リスク回避としての在宅勤務と生産性|実際の感想と今後の在宅勤務のあり方

新型コロナウィルスの影響もあり、世間で在宅勤務制度への関心が高まっています。企業活動継続のためのリスク回避と言う面から重要性の高まっている在宅勤務制度について、実際に在宅勤務制度を利用した立場からその感想と、生産性は高まるのかについて紹介します。

また、政府が大規模なイベントの延期、自粛の要請や全国の小中学校を休日にする要請を発表した事により、企業の対応も分かれます。有給休暇とする企業、無給休暇とする企業、在宅勤務を推奨する企業、対応を取ることができない企業と様々です。初稿執筆時点では業務改善の視点のみでしたが、危機管理の観点から見た在宅勤務制度についても解説します。

在宅勤務制度を利用したことがない人や、会社として在宅勤務制度の導入を検討している方の参考になればと思います。

目次

在宅勤務の感想とわかったこと

実際に在宅勤務をした感想を書きます。普段担当している業務によって在宅勤務の有効性は異なる事が想定される為、まずは私の立場の説明から始めたいと思います。

私の業務内容と立場

私は大手製造業で内勤をしています。業務改善がメイン業務で自動化やデータ分析、業務プロセス変更による生産成果以前などを担当しています。性別は男性。年齢は30代半ばで既婚です。配偶者は専業主婦です。小学生と幼稚園生の娘がいます。

この私の立場と、共働きで娘を幼稚園荷送り出してから会社に行っている主婦の方とは大幅に感想が違うものと思います。そういう立場の違いにも想像をはせながら、振り返っていきます。

最低限のITツールが使える事が前提

在宅勤務ではPCを使って自宅で作業を行います。そのため、ノートPCからネットワークに接続し、社内のシステムに接続する必要があります。このあたりの事情にいて確認していきましょう。

会社のPCを自宅でインターネットが使える環境にする

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まず、最低限のITツールが使えることが前提。今時インターネットにつながずにできる仕事などほとんど無い。というわけで、会社のノートパソコンを自宅のwifiに接続する必要があります。ひょっとすると、家のパソコンは業者に設定してもらったので、自分では何もしたことがない、と言う人は、wifiに接続する為のパスワードが分からない、など基本的な設定ができないかもしません。自宅wifiのパスワードや、SSID*1はどこを見れば分かるのか、といった事は予め調べておく必要があります。

社内のシステムに接続する為にプロキシを通過するためのパスワードの確認やVPN接続をするのであればその設定を予め済ませておく必要もあります。ただノートパソコンを家に持って帰ってくればOKと言うわけではありません。

携帯電話でテザリングするのであれば、どの程度の通信容量まで可能なのかを確認しておいたり、現時点の通信容量を確認する方法も調べておきましょう。

ビジネスチャットや電話会議システムの設定

TeamsやSkypeといったツールで会議を行うこともできます。会議予定がある日に在宅勤務制度を利用するのであれば、このようなツールの設定もしっかりと済ませておきましょう。

自分だけではなく、会議を行う相手も全員ツールを設定しておく必要があります。

このように、在宅勤務制度を利用する為に必要な最低限のITツールを確実に使う為の準備も相当準備が必要です。


在宅勤務は当日のマインド的にも結構大変

私の場合はメンタル的に相当追い込まれました。それが集中力につながりいつも以上の成果を残せた、仕事がはかどったといえます。

どういうことかというと、人に見られていない分、しっかりと目に見える形で成果物を残さないといけないという脅迫感といういうかプレッシャーのようなものを背負って仕事をすることになったと言う事です。会社で仕事をするよりも遙かに集中力が高かったと思います。実際は誰にも見られていないにもかかわらず、しっかりと成果を残さねばならないという思いが、常に誰かに見られているような気がずっとしていました。この間隔は実際に在宅勤務制度を利用してみないと、感覚的に理解するのは難しいかも知れません。

また、家事のために在宅勤務制度を利用している主婦の方には当てはまらないかも知れません。というか、そもそも私だけかも知れません。

脱線しますが、集中力を高めるには、「誰かに見られているような気がする」間隔を意図的に作り出すとイイと思います。集中力を高めるきっかけというか、入口に立ちやすくなります。

「部下の管理ができない」はまるっきり見当違いの意見

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在宅勤務に反対な責任者の意見として、部下の管理ができない、と言う人がいます。それは見当違いだと言うことが分かりました。自分自身が在宅勤務をして感じたのが、サボるどころかむしろプレッシャーでした。

どちらかというと、サボるより、サービス残業とかそっちの方を気にする方が良さそうです。それにサボる人は、在宅勤務でなくても、会社にいても既にテキトーに手を抜いていますよ、と思います。それは在宅でも自宅でも変わらないのではないかと思います。

リスク回避としての在宅勤務

在宅勤務は働き方改革や多様性だけでなく、リスク回避の観点で役立つことが分かりました。政府が2020年3月2日より全国の自治体に対して小中高校の休校を要請したため、子供を持つ親が在宅勤務などの必要に迫られたからです。在宅勤務ができる様な体制を整えておくことは、企業として事業を継続するための責務担ったと言って良いでしょう。近年、風水害による鉄道の計画運休も浸透しており、リスクに対して予め備え、被害を最小限に留める対応が必須となっています。

在宅勤務を行う事ができると言う事は、会社への移動が必要でなくなるというシンプルな理由により、自宅で働く事を可能にする制度です。これは是非とも進める必要があると言えます。これまで生産性向上に役立つか、と言うことが議論の対象であった制度がリスク回避の観点から必須の制度となってしまったのです。つまり、普段から利用しようと思っていなくても、いざとなればすぐに利用できる体制を敷く必要があります。

そして、私の在宅勤務経験から言うと、いきなり在宅勤務は余りうまくいくとは言えません。一ヶ月に一度は自宅から会社のネットワークに接続する練習をする、電話会議システムの使い方に慣れておく、家族の理解を得ておく、と言った様なことが必要となります。つまりリスク回避のための在宅勤務はいきなりはできないので、普段から実行して備えておく必要があります。

どうせ普段から備えておく必要があるのであれば・・・、そうです。より効率よく在宅勤務制度が利用できるように工夫すべきなのです。【在宅勤務は導入可否を検討する】という段階から、【より効率よく利用するにはどうするか】と言う議論をする段階に移ったと言えるでしょう。

在宅勤務の生産性まとめ

以上、リスク回避としての在宅勤務と生産性について内容まとめます。

  • 在宅勤務の為のIT系の準備は怠るべからず
  • 勤務態度を見られていないからこそ、実績を目に見える形で残す必要があり、プレッシャーを感じる
  • 上記、プレッシャーが集中力を高め、生産性が上がる
  • 「部下の管理」ができないは見当違い

あと、総じてマインドの問題だけだな、と言う結論で閉めたいと思います。ITの事前準備も生産性も、「部下の管理」も結局在宅勤務をさせる側、する側がどういう心構えで望むか、それだけに掛かっていると言えるでしょう。

*1:アクセスポイントの名前。ここではざっくりとwifiの名前、と言う理解でOK

アホみたいなスローガンは辞める|ホウ・レン・ソウ / カク・レン・ボウ

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「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」はもう古い、という論調は2010年くらいにはすでに耳にするようになっていて、昨今では「カク・レン・ボウ(確認・連絡・相談)」から「コマツナ(困ったら使えるヤツに投げる)」と言ったモノまで、大喜利風味のスローガンがかまびすしい。

ちょっと本質に立ち返ってみたいと思います。

目次

ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)はもう古い、と言う良く聞く話

ホウ・レン・ソウは言わずと知れたビジネスの要諦で報告・連絡・相談の頭文字を取ったものです。語呂の良さからか知らない人はいない程浸透していて、手垢が付いてテカっているので使いたくない、というか恥ずかしいくらい有名なものです。

【 ホウ・レン・ソウはもう古い】という昔からの論調はどのような主張が主だったものかというと、報告の部分で「○○が××しました」と事実だけを伝えても「で、どうしたの?」となってしまうので、単なる報告では不足だ、というものです。単なる事実ではなく、「○○が××しました。よって◆◆の対応をしましょう」といった提案までしましょう、だとか、「◆◆の対応をしますか」といった確認までしましょう、というのがそれらの主張です。

題名にあるカク・レン・ボウはホウ・レン・ソウのホウを報告から確認に置き換えたものです。マシにはなっていますが、余り変わっていないですね。まあ、根っこは同じです。

子供への教育なら語呂の良さで教えるのはアリだけど・・・

小学校低学年くらいの子供に、「困ったことがあったらイイなさい、パパやママが知らないともっと困ることになるからね」と言うのはアリだと思います。語呂の良さから覚えてくれるでしょうし、小さい頃に語呂の良さで覚えたようなことって、深く記憶に残って財産になりますよね。子供相手に教えるのなら大いにアリだと思います。

別に【ホウ・レン・ソウ / カク・レン・ボウ】が悪いわけではない

そろそろ結論に移ると、子供に対して言い聞かせるような語呂を大人通しが使うような、職場はレベルが低すぎる、と言う事です。別に【ホウ・レン・ソウ / カク・レン・ボウ】そのものを強く否定したいわけではないのです。イヤなことはイヤですが、問題の本質は語呂の良い文言ではなく、そういう言葉で人にものを伝えないといけないような職場がまずいと言うことです。

だからアホみたいなスローガンは辞めよう、損明日ローガンがなくても自然に情報が行き交う職場に仕様、というのが私が本来言いたいことなのでした。

報告のホウを確認のカクに置き換えたり、提案にしたりと言った工夫はすればいいと思います。それは、どうぞ進めて下さい、と言う話です。

BIツールなどのSaaS(サーズ)の導入を検討する前に考えておきたいこと

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BI(ビジネス・インテリジェンス)ツール*1や在庫管理ソフト、会計ソフトなど様々なソフトが提供されています。昨今はこれらのソフトをサービスとして提供するSaaSと言う形態で提供されているのが当然になりつつあります。SaaSを導入する前に考えてみたいことを紹介します。

目次

SaaS(サーズ)の導入を検討する前に考えてみたいこと

要するにソフトを導入する時に気に留めたい事を知っておこう、と言う話です。ただ、現在ソフトを使うには買い切りという形態とサブスクリプションという形態があります。これがややこしいので、ざっと確認しておきましょう。

*この記事は最終的に会計の話になります。経営層か、兄姉視点でツールを検討したい方向けです。使えれば何でもいい人には役立たないかも知れません。

SaaSとは

SaaSとは Software As A Serviceの略で、サービスとして提供されるソフト、と言う意味です。SaaSではない買い切りソフトをまず確認してからSaaSの話に入ります。


イメージしやすい買い切りから理解する

1990年代、スーパーファミコンでプレイしたストリートファイターⅡのソフト。箱に入っていて、とてもごついプラスチックに基板が埋め込まれていました。
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これをゲーム専用の筐体であるスーパーファミコンにガチャコン挿入すると、ゲームができる。ソフトがハードウェアをまとった状態(笑)

これは、買い切りです。お金を払って買ったから、私のモノです、ということです

最近の買い切りソフトの場合

App StoreやGoogle Playをイメージすると分かります。ダウンロードしてインストールするのが最近の買い切りソフトの主流です。CDを買ってきてインストールする場合もありますが、メインのソフト購入方法はダウンロード⇒インストールだと言っていいでしょう。

SaaS

比較対象が揃ったところでSaaSです。サービスとして提供されるソフト。サービスの特徴の一つに非貯蔵性*2がありますね。自分のモノとして蓄えられない代わりに、使った分だけ、あるいは使うと約束した期間だけお金を払えば良い、と言う事になります。

携帯電話がいい例です。一ヶ月いくらで2年契約。もし一ヶ月当たりの通話時間が○時間を超えたら、1分当たり○円。完璧にサブスクリプションです。決められた定価で一定期間を契約してしまう。そして、予め決めた使用量を超えたら超えた分だけを支払う。この料金形態がそのままSaaSに当てはまります。

この場合、ソフトは自分のモノになっていないので、利用料は必要な機能を使う為に支払った経費という扱いになります。

頭がこんがらがりそうな話

ストリートファイターⅡは一度もやらなくても10年間やりこんでも、定価以上のソフト代は発生しません。それは自分の物になったからです。一方で、SaaSは利用するための経費です。前者は経費にならず、後者は経費になります。

ソフトに当てはまるかどうかはさておき、資産は徐々に劣化するという考えがあります。家だって傷むし、車だって傷みます。ソフトは痛まないけれど、時代と合わなくなってだんだん使いにくくなってくると考えれば、徐々に痛んでくるのと同じような資産価値の低下があると言ってもいいかもしれません。

つまり、資産に計上したソフトウェアは減価償却します。(わかりづら!)

資産にして劣化させるのか、掛け捨てにするのかの違い

要するに下記の通りです。

  • 買ったら、あとから価値が下がってきてそれが経費になる
  • SaaSならその都度必要な分だけ経費を支払う

どちらがしっくりくるか、と言う観点で選ぶのもアリだと思います。それが分かった上で、損得も考慮して選べればいいと思います。減価償却費は税額控除の対象として数年にわたって減税効果があるというような下心もあります。

ちなみに、筆者は仕事では断然、ソフトはSaaS派です。そしてプライベートは買い切り。どういうことかというと、会社では使った分市価払わないことによって、一時的に高く付いても損を限定する守りの姿勢。プライベートでは、思い出としてストツーのソフトを手元に持っておきたい。(あのプラスチックを会社においておくのはあり得ないですよね)

BIツールなどのSaaS(サーズ)の導入を検討する前に考えておきたいことまと

資産と経費を分けましょう。使い方によって、資産が良いのか経費が良いのかを検討しましょう。


*1:大量のデータを見える化して知見を獲得することを目指すソフト。買い切りとSaaSの2つの契約形態がある

*2:サービスの3大特性のひとつ。3大特性は非貯蔵性(貯められない)、不可分性(生産と消費が同時)、需要変動性(需要量の変動がモロ)で、遊園地の体験が商品としてのサービスの典型例

BIツールを選ぶ前に知っておくべき事

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BIツールが雨後の筍のように出てきています。いくつか使ってみて思うことについて書きたいと思います。この記事は、特定のBIツールに関して考察するものではなく、BIツール全般の選び方について思うことです。BIツール導入を検討している方の参考になればと思います。

目次

BIツールを選ぶ前に知っておくべき事

そもそもBIツールとは何か

BIツールとはBusiness Intelligenceのことです。BIツールは経営判断やマーケティングなど判断に必要な情報を分析するツールとして、多くのシステムベンダーが提供しています。

各社が掲げている特徴として概ね下記のような特徴が挙げられます。

  • 誰でも簡単な操作で知見が得られる
  • 社内の情報を一元管理できる
  • 得られたグラフや知見を社内で共有できる

つまり、データを一つのところに集めてグラフなり表なりにして簡単に見える化できるツールと言えるでしょう。BIツールとは何かわかったところで、結論から入りたいと思います。

結論

いくつかのBIツールを使ってみた私なりの結論を述べます。それは、【まずは使い慣れたツールでグラフを生成すべし】ということです。ここで言う使い慣れたツールとはエクセルやグーグルスプレッドシートのことです。

ビジネス領域や組織構成、規模、データの種類といったことによってBIツールを採用すべきかどうか、採用するのであればどのツールにするのかは異なります。まさに企業ごとの事情です。そこで、まずはエクセルなりグーグルスプレッドシートなり、普段使っているツールでグラフを作って見える化してみましょう、と言う事です。そして何も問題なくそれらのツールで分析ができるならそれでいいではありませんか

逆に、もしできない理由があるのであれば、そこを解決する選択肢の一つとしてBIツールの導入を検討すれば良いのです。これが健全な検討順序だと思います。いちばん恐ろしいのは導入ありきになってしまうことです。

BIツールを使ってできることは何か

まず、市販のBIツールを使ってできる事について確認しましょう。BIツールを使ってできることはデータ分析の元データをそろえたり、グラフを生成する事です。BIツールそのものがデータ分析をしてくれるわけではないので、注意しましょう。

「AI搭載」というような文言を謳っているものがあります。それらの機能は、このデータとこのデータを組み合わせたら新たな知見が得られるかもしれませんよ、と関連性のありそうなデータの組み合わせを提案するだけです。

実務で使えるデータ分析結果を得るには2020年1月20日現在では、人の手によるデータ分析が必要だとの印象を私は持ちました。AIによるデータの組み合わせの提案が参考になることはあるかもしれませんが、AI搭載=すべてデータ分析が自動化できて最適化されて業績向上!という事にはならないので注意しましょう。

もう一度まとめておくと、BIツールでできることはデータをまとめたり、グラフにして見やすくするなどデータ分析の下準備をすることです。

市販のBIツールはあなたに特化したツールではない

当たり前ですがBIツールは汎用のソフトとして販売(もしくはサブスクリプション契約*1)されているため、あなたに特化したツールではありません。

BIツールを提供するシステム屋さんはあなたが欲しいグラフが円グラフなのか、パレート図なのか、折れ線グラフなのかは分かりません。あらゆるグラフや見せ方に対応する必要があります。必然的にツール自体が重いソフトになりますし価格も高額になります。一方、自分に特化したツールを機能を絞ってシステムを作ってもらうのも同じく高額になります。

この点においても、やはりまずはエクセルで自分が見える化したいデータを取り扱ってみると言う手が考えられます。エクセルで特定の形のグラフなりフォーマットを作っておいて、そこにデータの事前加工やデータを流し込むところをVBAやPythonで自動化しておけば、無償でお気に入りのデータをすぐに入手することができます

BIツールを導入しても、一人ひとりが使う機能は1~2種類しかない点も留意しておきましょう。

BIツールとエクセルとの違いは何か

データを集めてグラフにするだけならエクセルと何も変わらないのではないか、と思った方は鋭いです。その基本的な機能に関しては、エクセルとBIツールで変わりはありません。

エクセルとBIツールで機能の方向性に違いがない事が分かった上で、違いに着目すると、下記の2点があげられます。

  • 取り扱い可能なデータ量
  • 共有する事

それぞれ、簡単に解説します。

取り扱い可能なデータ量

これはBIツールに軍配が上がります。クラウドなりオンプレミスなり、サーバーを用意する必要があります。BIツールのデータはサーバサイドで動かします。エクセルはそもそも行数が100万行+αくらいしかありませんし、実務的にはデータの種類にもよりますが、数万行~数十万行が限界だと思います。これはエクセルが太刀打ちできない部分です。

もし取り扱いデータがエクセルで太刀打ちできない、と言うのであればBIツールはデータ分析の有力な選択肢になり得ます

共有する事

もう一点は共有です。エクセルはメールでデータで配信することも可能ですが、大量のデータをメールで共有するというのは限界があります。もし、大量のデータをどこかで分析し、その知見を世界中のグループ会社のメンバーと共有するというグローバルな企業であればBIツールを検討する余地は十分にあります。

BIツールを選ぶ前に知っておくべき事まとめ

以上からBIツールを選ぶ前に知っておくべき事を次のようにまとめたいと思います。

  • BIツールは見える化など分析を手助けするためのツールであってBI自体が分析してくれるわけではない
  • 市販のBIツールはあなたに特化したツールではない
  • まずはエクセルなど使い慣れたツールで見える化して見るべし
  • 使い慣れたツールで見える化できない理由があるとき、始めてBIツールを検討するべし
  • 導入ありきで進めないこと
  • 有力な導入動機は①取り扱いデータ量、と②共有する機能

自分に必要な機能を正しく把握し、手元のツールで対応できないかを検証し、それでもムリだったらBIツールの検証を行いましょう。安い買い物ではありませんからね。

*1:サブスクリプションと言っても従量課金制ではなく、月間や年間いくら、と言う契約です。定期購読期間中はキャンセルできません、と言う契約になっている為注意しましょう

【プログラミング】文法の勉強だけでは遠回り|挫折しない上達のコツ

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きょうはプログラミング上達のコツについてお話しします*1。私はエンジニアではありませんが、会社で事務職の社員を相手に簡単な自動化プログラムが作れるようにするための講師を務めています。今回お伝えする内容は、どのプログラミング教室を選ぶかよりもずっと大事な考え方です。

正しい勉強法を知って、最短で無理なく無駄なく上達していきましょう。なお、プログラミングが始めて、あるいは始めたものの、いつまでたってもできるようにならない、という方を読者に想定しています。

目次

プログラミングの上達のコツ

AIや人工知能、データサイエンスと言う言葉もすっかり定着し、高度AI人材の需要が高まっています。そんな中、プログラミングやエンジニアに興味を持っている人も多いのではないでしょうか。転職サービスや転職サポートの付いているプログラミング教室の広告も沢山見かけます。それでは早速プログラミング上達のコツに付いて見ていきましょう。

上達が停滞するとモチベーションが下がり、挫折につながる

まずは挫折の原因から見て行きます。私が人に教えたり、自分自身が勉強した経験から言うと、多くの場合、初心者が挫折してしまうのはプログラミングの文法が分からないからではないように思います。

では、どういうときに挫折するかというと、上達が停滞する時です。プログラミングの勉強では概念的に理解が難しい部分がありますが、それはレベルの高い話です。では上達が停滞するとはどういうことかについてみていきましょう。

上達が停滞する時はいつか

ここから本質に迫ります。上達が停滞する時とはズバリ、基本文法のインプットが一通り終わった時です。具体的には繰り返しと条件分岐が終わったあたりです。この段階の弱点は、何か完成品を作ったことがない事です。

正直なところ、一通り基礎文法のインプットが終わった段階と、アプリの完成品を作れるレベルには段差があります。そのため、いままで順調に新しい文法を覚えてきたのにそれを応用する事ができずに停滞してしまうのです。これが上達が停滞するときです。

そして、この段差が乗り越えられないと、停滞が長引き、挫折につながって言ってしまうわけです。

挫折をしないためには上達を停滞させない

ここまで、挫折するのは上達が停滞する時期が長期化するから嫌になるということについて説明してきました。ここまでのことから挫折しないためには上達を停滞させないことが大切だと言えます。それでは上達を停滞させないためにはどうすれば良いかというと、目的に向かって一直線に進むことです。目的とは何をしたいかと言う事です。Webアプリが作りたい、とか、エクセル作業を自動化したい、とか、ゲームを作りたいとか、そういうことです。

プログラミング学習が流行っているから、何となくプログラムの勉強を始めた、と言う人は、文法を一通りインプットするところまでは行きますが、ここに来て目的がないために、成長が止まり、挫折につながっていきます。目的を明確にして単刀直入、ピンポイントでいきなり目的のモノを作り始めればいいと言うことです。

単刀直入、いきなりものづくりを始める

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完成度やエラーに強いか、セキュリティなどはこの段階ではどうでもいいです。コアな部分だけでも、どんなに小さい機能でもいいので、とりあえず一つ作りきることが非常に大事です。

始めから使い勝手や完成度、セキュリティまで考慮したモノ作りをするのはまずムリです。思い切って捨てます。捨てて、コアなところに絞ってとにかく完成させます。そうすると、基礎文法は一通りインプットしたつもりでも、案外てが止まりまくりでなかなか前に進まないことに気づくでしょう。

ここが踏ん張り時です。ここで、分からないところを調べて書く事がまさに本当の勉強であり、上達につながる部分です。さっさと基礎文法を終わらせた段階で、難しい文法は後回しにし、一直線に作りたいモノのコアな部分だけ作る。これが最大のコツです。具体的に作りたいモノの作成に取りかかっているので、分からないところを調べる時も調べるべき内容がはっきりしていますし、徐々に完成に近づいていくのが楽しく、モチベーションも保ちやすいです。

そしてやがて、完成度が低いモノができあがります。しかしこの時点で、基礎文法のインプットが終わった段階とは雲泥の違いがあります。非常に大きな一歩です。

完成度が低いモノができた次のステップ

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完成度が低いモノができたら、次はその完成度を高めます。しかし、上達という面ではここでは、新たに始めから作るようにすることが重要です。最初に作った完成度の低いモノを改造するのではありません。もう一度始めから作り直します。


理由は、改造するのは難しいことと、始めて作ったものなんてプログラムの流れもぐちゃぐちゃでどうしようもないからです。大工事より最初から作る方が簡単です。一度完成品を作った経験があれば、2週目は初めての時より遙かに早く完成までこぎ着けることができるでしょう。

「完成品を作る」の注意点

ここで注意点が2つあります。それは、写経で作ったモノは完成品に含めないということです。

初心者向けのプログラミング学習書に多い形式として、サンプルのアプリやツールを実際に作りながら基礎文法を学ぶと言うモノがあります。大変分かりやすいですよね。これは、「とにかくまずひとつ完成させ」たモノにカウントしてはダメです。写経で作ったモノは「とりあえず作る」に含みません。ここ、勘違いしやすいので要注意です。写経して一通りその本が終わったら、その本で作ったツールとは違うモノを作ってみましょう。これが「とりあえず何か作る」の何かにカウントできるモノです。

写経が有効なのは、繰り返し構文や条件分岐など基礎文法の習得部分です。というか基礎文法の習得は無料動画でもスクールでも本でも何でもいいです。基礎文法ではそもそもあまり挫折しません。

プログラミングの挫折しない上達のコツまとめ

この記事の内容をまとめます。

  • 挫折するのは上達が停滞するから
  • 基礎文法では挫折しない
  • 挫折しない上達のコツはいきなり目的のモノを作り始めること
  • 写経で作ったサンプルアプリは、「とりあえず作る」の実績にカウントしてはいけない
  • 基礎文法のインプット部分は本でも動画でもスクールでも何でもいい

それでは、目的のモノをいきなり作り始めましょう!

*1:HTMLにも適用できる考え方です

データ分析の考え方|目的を明確にする

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データ分析の考え方について説明します。

目次

データ分析を行うには目的を明確にする

データ分析を行う上で一番大事なことは目的を明確にすることです。目的とは下記の様なものです。

  • 過去のデータから今月の売上高を予測し、仕入れ数量の計算に役立てる
  • 顧客のデータから再購入に至る可能性の高い顧客を抽出する
  • 顧客データから興味がある商品カテゴリーを予測する

これらの目標はいずれも具体的です。具体的な目標を持っていると次のアクションに生かすことができます。むしろ、次のアクションに生かすためにデータ分析を行うべきです。

私は会議資料の作成を自動化したことがありますが、ムダでした。月に一度定例で行う会議で、先月の実績を共有する為の会議です。「なるほどー」で終わり。会議資料を作ること自体が仕事になってしまっていて、具体的に次のアクションに結びついていません。このように、単に実績をまとめただけのグラフを作るのはデータ分析とは言いません。そもそもグラフを自動化していますし、そこから何かの知見を得ようともしていません。グラフはデータ分析を強力に推し進めてくれる便利なツールですが、やはり目的がないと宝の持ち腐れとなってしまいます。

帰納的にデータ分析し演繹的に予測するのがデータ分析

帰納的とは実績データを分析して法則を見つける、傾向を見いだすという考え方です。演繹は帰納で見いだした法則に当てはめて、予測することです。「西の空が曇りなら明日は雨になりやすい」という法則が見いだせたら、「きょうは西の空が曇りなので明日は雨になるだろう」と応用できますね。この応用部分がやりたいことです。何をしたいのかを明確にすることで、帰納を行う場合にも軸がずれないデータ分析ができます。

定点観察により変化点や異常値を検知する

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冒頭で会議資料の自動化をしたことがムダ、と書きましたが、毎日、あるいは毎月など予め決めた間隔で同じデータを取得し続け、それをグラフ化することは目的があれば有意義な場合があります。それは変化点異常値を検知する事が目的の場合です。正常に稼働している事を担保する、何か変化の兆候があればそれを抽出すると言った場合には価値がある分析となります。異常が無いのに「きょうも以上はありませんでした」という事を説明するためのグラフを作成するのはムダです。

ある時点でのデータを分類する

特定の顧客に対してこれまでの購買履歴から傾向を掴み、どのような商品カテゴリに興味があるかを予測する事ができればそれは売上拡大につなげることができる可能性が高くなります。これは有意義なデータ分析と言えるでしょう。よく人工知能が予測というような言葉を聞きますが、人工知能が持ち出されたら、この統計的な手法でもっとも可能性が高いカテゴリーを抽出しているだけなのだと思う様にしましょう。結局データ分析をしているだけです。

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データ分析のプラットフォーム

異常検知もカテゴリーの分類も、予測(回帰)もエクセルで相当の分析ができます。データサイエンスという言葉で毎回と言っていいほど話題に上るPythonでもデータ分析を行う事ができます。エクセルがいいのかPythonがいいのかは場合によって使い分ければ良いでしょう。Jupyter Notebookを使う事ができる環境であれば、ソースコードやグラフごと共有することができます。一方、Windowsが入っているPCなら面倒な設定など全くなくエクセルデータの共有が可能です。環境や目的に応じたツールを使えば良いと思います。Pythonがエクセルよりエライと言う事はありません。


データ分析の考え方まとめ

  • 帰納的にデータ分析し演繹的に活用する
  • 定点観察により変化点や異常値を検知する
  • 人工知能と呼ばれている技術はデータ分析の分類と同じ
  • データ分析のプラットフォームはエクセルでもPythonでも何でもいい

グラフをつくる事そのものが仕事ではなく、何かの目的を持って知見を見い出すためにデータ分析を行う。そのための補助ツールがグラフなのだ、と言う事を意識して、データ分析に取り組んでいきましょう。

ちなみに私は・・・と言う話

ちなみに私がPythonでのデータ分析を学んだ一冊目の本が下記の本です。


Pythonでデータ分析をするならライブラリが充実していると言うメリットを存分に使い倒すのが吉。と言うわけで一冊目はライブラリの使い方と前提となる基礎数学が網羅的に学べるこの本から入って、その後深掘りしていくのがオススメです。

【レビュー】|iOS、Android、Windows向けスマホ用キーボード|EWIN

EWINの画像
スマホ用折りたたみ式キーボードEWIN
今回は私が使っているスマホ用キーボードEWINのレビューをします。率直なところを書いていくので参考になればと思います。

目次

スマホ用キーボードEWINレビュー

利用可能OS

EWINはiOS、Android、Windowsスマホに対応しています。この3つのOSを押さえていればほとんどすべてのスマホやタブレットで使えると言えるでしょう。

また、デバイスを3つまで登録することができるため、家族で共有したり、会社用にAndroid、プライベートにiPhoneを持っているというような方でも便利に使うことができます。

持ち運びに便利な折りたたみ式

EWINは真ん中から二つに折り畳むことができます。このため、持ち運びに便利なだけでなく、キーボードのボタンを保護することにもなり、安心して鞄の中に入れて持ち運ぶことができます。

また、コンパクトになるため、スーツの胸ポケットにぴったり入ります。スマホ用キーボードにおいて携帯性は重要な要素なのでこれはとても嬉しいです。

折りたためばコンパクトに鞄に収まる
折りたたんだ状態の写真

折り畳んだときの大きさがわかるように隣にCDをおきました。一番左は後程説明するスマホ立てです。

キーボード配列

次にキーボードの配置です。言葉で説明するより見た方が早いのでしたの写真をご覧ください。

iOSにもAndroidにも対応しているキーボード
キーボード配置 iOSにもAndroidにも対応している

iOSにもAndroidにも対応していることが、ControlとCommandボタンの両方があることからも伝わってきますよね。

ひとつ特記しておきたいのがスペースキーが中央左下と中央右下の2つ存在することです。このお陰で、漢字変換をするときに左手の親指でも右手の親指でも、やり易い方が使えるため、作業が大変やり易いです。

使用感:ブログ執筆というハードな入力作業にも○

実は携帯性の良さ以上に私が気に入ったのがキー入力のしやすさです。この記事もEWINを使ってスマホから書いているのですが、キーボード入力に関してはPCとの違いをほとんど感じません。

キーの打ちやすさの観点から使い勝手を見ていきます。

キーボードの大きさ

まずキーボードの大きさです。折り畳むとコンパクトになると言いましたが、ボタンが小さいということはまったくありません。キーの大きさはPCと完全に同じです。キーとキーの間の幅もPCと同じ感覚ですので、タッチタイピングができる方は、PCと同様、キーを見ないでタイピングをすることができます。FとJのホームポジションを示すポッチもちゃんとあるので、タイピングについてはPCと同様です。

EnterキーはUSキーボードに慣れている人には問題ありませんが、小さいです。「スターン」とEnterを押したい人には不満かもしれませ。しかし、右手の小指を伸ばさず、ホームポジションを崩す事も無く届くので、タッチタイピングができる人は慣れればこちらの方がストレスフリーにタイピングができるでしょう。

打鍵感覚

次に打鍵感覚です。打鍵感覚は好みの問題ですが、めちゃくちゃ気に入っています。ある程度のストロークがあるため、押した時にしっかりとした打鍵感覚があり、タイピングしている感を味わうことができます。音は普通に打てば、静かな場所であれば「パチパチ」という音をはっきり聞くことができます。

静かに打鍵すれば、ほとんど音はしません。静かな図書館の閲覧室なら、隣の人は気づく、というくらいの音量です。しっかり抱けん感覚がありながら、周囲の迷惑にならない音量という絶妙の設定がオススメポイントです。


角度が5段階で調節できるスマホ立て

このスマホ用キーボードにはスマホ立てがついています。下の写真はスマホ立てを斜め上から見たところです。

立てる角度が調節できる
5段階で角度が調節できるスマホ立て

これがまた便利で、スマホ入力の場面に限らず、ただ単に立てておきたいときにも使えます。私の場合は、PCでブログを執筆する際は、キーワードや関連記事などの検索結果をスマホに表示して立てておき、PCで入力するといった使い方もしています。

また、スマホ立ては60度から75度の間で5段階で角度を調整することができます。テーブルにおいて使うときは見下ろす形になるので60度、こたつで使うときは目線が平行に近くなるので75度といったように使い分けることができます。

スマホ用キーボードEWINまとめ

スマホ用キーボードEWINについてまとめると下記の通りです。

  • iOS、Android、Windowsのスマホ、タブレットに使える
  • 折り畳めてスーツの内ポケットに入る
  • 入力の感覚はPCとほとんど変わらない
  • 打鍵感覚はしっかり、音は静か
  • スマホ立ては角度を変えることができる

出先で文字入力をする機会がある人はEWINで生産性向上を目指してみてはいかがですか?


DXRACERレビュー|PCデスク作業環境の改善

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PCデスク作業環境改善のために椅子にゲーミングチェアを買いました。思っていたよりはるかに快適なPC作業環境が実現できたので、使い始めて1ヶ月のゲーミングチェアDXRACER(デラックスレーサー)を詳しくレビューします。一緒に快適な作業スペースを作っていきましょう。

目次

PC作業環境を改善する

一日数時間に及ぶPC作業。習慣とも言えるほど毎日の作業だからこそ、作業環境を改善して疲れにくく、良質なアウトプットを生み出す環境を作りたいですよね。作業環境の改善ぶ役立だったゲーミングチェアについて紹介したいと思います。まずは、私がPCデスクでどんな作業をしているのかを説明します。

PCデスクで毎日行っている主な作業

私が自宅で行う作業は主に下記の通りです。大体の作業時間の割合をカッコの中に表示しました。

  • ブログ執筆(50%)
  • ブログ以外のインターネット(20%)
  • プログラミング(15%)
  • 読書、新聞閲覧(10%)
  • 晩酌、その他(5%)

ブログ執筆はパソコンにキーボードで文字を入力していく作業です。作業時間はだいたい1.5時間~2時間くらいブログ以外のインターネットは調べ物などの作業です。ブログを書くにもインターネットで情報収集や裏取りをしたりするのですが、インターネットでの調査はブログ執筆とは作業姿勢が異なるので別の項目としました。

プログラミングは文字を入力するという点でブログ執筆と似ています。しかし、本を調べたりエラーのチェック時は前かがみになるなど、作業姿勢がブログ執筆と異なるので別の項目にしました。

また、以前ならリビングのソファで行っていた、読書、新聞閲覧もこのデスクで行うようになりました。DXRACERを導入してからは、まさにここが私の居場所、という感じで、滞在時間が長くなっている事が理由です。

晩酌はPCデスクの作業ではありませんが、リラックスもできる空間になっているため、ここに入れました。

PCデスク全体

私のPCデスク上はこのような感じです。
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PCはデスクトップ型です。PCの横に縦置きの書類置きフォルダを設置し、そこに今読んでいる本を置いています。その横に携帯電話を立てておいています。ディスプレイを持っていないので携帯が立てられる様にして、調べ物の画面はスマホ、入力作業はPCと言うようにしています。この作業環境だとスマホの画面を指で操作しづらいのでスマホ用のキーボードを設置しています。

デスク上の環境ができたらこんどは体を預ける椅子の見直しです。

私はPC作業用の椅子として、新たにゲーミングチェアDXRACER(デラックスレーサー)・クラシックを採用しました。このゲーミングチェアの採用が作業環境改善の要です。詳しくレビューしていきます。
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ゲーミングチェア DXRACERにはゲーム向けとオフィス向けがある

プロゲーマーがゲームの腕前を競うe-suportsの大会で採用されているDXRACERですが、実は色々とラインナップがあります。

今回私が採用したのはゲーム用のチェアではなくPC作業用のチェアです。DXRACERシリーズの中ではクラシックと言うカテゴリに当たります。クラシックの特徴とスペック詳細はDXRACER|オフィス&ワーキングチェア向けモデルに記載されています。

リンク先に記載されている特徴を一部抜粋をすると、下記の通りです。

  • DXRACERの中でクラッシックシリーズはオフィス&ワーキングチェアとして開発されたカテゴリーとなります。
  • チェア座面下に収納できるフットレスト付です。長時間のデスクワークによる疲労時に背もたれリクライニング機能と合わせてチェアの高い傾斜角を実現します。
  • 人間工学に基づいた独自の3Dスチール構造で背中をホールドするシート形状。
  • 背もたれは、レバー操作にて135°リクライニングが可能。

これらの説明書きを見て実際の使用感と付き合わせてみると、決して誇大メッセージではなく、うまく言い当てているなぁ、と感じました。そういう言い方があったのか、と。ただその説明をコピペしていたのではレビューにならないので私の言葉で書いていきます!(汗)

個人的レビュー

正直、控えめに言って、かなりイイです。どこがいいのか。作業の種類別にレビューしていきます。

オススメポイント

◆ブログ執筆時

  • とにかく楽で疲れない
  • 包まれている感、安心感
  • 背中、型、腰をしっかりホールドされている


◆ブログ以外のインターネット時
マウスを中心とした長時間のネットサーフィンにも適しています。

  • アームレストの高さと向きが調整できる。一番上まで上げると頬杖がつける
  • アームレストを一番上まで上げると、PCデスクと同じ高さになるので自然に手を置いたところでマウスが使える

余りきれいではない腕が写っていて恐縮ですが、アームレストを一番上まで上げるとPCデスクと同じ高さになる、の意味が通じるでしょうか。これが、めちゃくちゃ楽です。背もたれを垂直から30~40度まで倒して左手で頬杖を付くことができます。無理なく脱力してPCを操作できます。憧れの寝ながらネットサーフィンにかなり近いと思います。
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◆プログラミング時
これはチェアのレビューと言うより、コツなのですが、前屈みになる作業の場合は背もたれは敢えて垂直にせず、ブログ執筆のポジションと同じ15度程度まで倒した状態で使います。前屈みで作業をしている時点でそもそも背もたれを使っていないので、一段落付いたときに「ドカッ」っと後ろにもたれられるのがとてもありがたいです。

  • チェア自体が重く、自分の体重を合わせると思いっきり後ろに倒れこんでも、椅子ごと後ろに倒れてしまう心配がない
  • 強力なバネで、思いっきり後ろに倒れてもソフトに受け止めて戻してくれる
残念ポイント

これまで良いところを上げてきましたが、ひとつ残念なポイントがあります。それはフットレストがふくらはぎに当たると言う事です。フットレストを伸ばした状態で、足を伸ばすと私の場合はふくらはぎがフットレストの角にあたって痛いです。なので、フットレストは足を伸ばす用途では使っていません。

ゲーミングチェア DXRACERレビューまとめ

ゲーミングチェアとはいえ、PC作業用のクラシックモデルはブログ執筆やプログラミングなど長時間のPC作業環境にかなり適しています。

背もたれを倒してもフルフラットにはなりませんが、休息のためではなく、長時間くつろいで作業をすると言う用途についてはおそらくこのチェアが最適だと思います。

以上、レビューでした。皆さんも道具を見直して作業効率を高める工夫をしてはいかがでしょうか?

非エンジニアがプログラミングを勉強すべき理由

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プログラミングはシステムエンジニアやプログラマーだけのものではありません。非エンジニアの総合職、一般職の会社員がプログラミングを学習すべき理由について解説します。この記事は非エンジニアの会社員でちょっとプログラミング興味あるな~と言う方を読者として想定しています。転職だけがプログラミングを勉強する目的ではありません。

目次

非エンジニアがプログラミングを勉強すべき理由

結論から言います。エンジニアではない会社員がプログラミングを勉強するべき理由は仕事と仕事外の両方の人生の時間を充実させるからです。

プログラミングを趣味にすることで仕事外が充実する

プログラミングは仕事に役立つだけではありません。プライベートでもプログラミングを楽しむことは可能です。ここでは趣味としてプログラミングを学ぶ事について考えます。

手を動かしてものをつくるのが面白い

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一度はプラモデルやレゴで遊んだことがあるのではないでしょうか。あるいは大人になると鉄道模型やジオラマに熱中している人もいると思います。なんだかワクワクしてきますよね。人間は本来手を動かして何かを作るのが好き、かどうかは分かりませんが、何かを作るのが好きな人にとってはプログラミングはとても良い趣味になると思います。手を動かして何かをつくることが単純に面白いんですよね。

結果をすぐに目で見る事ができる

プログラミングは実行すれば即座にその結果を目で見て確認することができます。自分が作ったものが目の前で動く様をすぐに見られるのも面白いところです。

仕事が充実する

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次に仕事上のメリットを見て行きます。プログラミングを仕事で生かすというのは、何もエンジニアだけの事ではありません。

希少な人材になれる

仕事ができる人は優秀な会社員は沢山いますが、プログラミングできる人は非常に少ないです。私の職場は事務職の内勤ですが、エクセルのマクロで有名なエクセルVBAでも、簡単なプログラムが書ける人は100人中2~3人くらいです。つまり、非エンジニアでプログラミングができると言うことはとても希少性が高いと言う事です。

VBAやPythonでちょっとした自動化ができればそれだけで頭一つ飛び抜けることができます。エクセルをよく使う職場なら少し勉強するだけでかなりの自動化ができるのでVBAを勉強する事はオススメです。

ミスがなくなり、心理的なプレッシャーから解放される

プログラミングで自動化ツールが作れるようになると、時間削減だけでなく、手作業によるミスが無くなります。このことは、ミスをしないように慎重に作業を進めるという心理的な負担から解放されることにつながります。この心理的な負担から解放されると言うことが非常に有益です。また、プログラミングが上達してきたら、自分の作業を自動化するだけなく、周囲の為のツールを開発してみましょう。一目置かれる存在になることができます。一目置かれると、嬉しい反面、緊張感を持って仕事に取り組むことになり、とても充実した精神状態になっていきます。

一日の多くの時間を過ごす職場での精神状態が良ければそれは、人生そのものにも影響していきますよね。ここまで来ると、仕事が面白く感じるようになってきます。正のスパイラルが回り始めます。

非エンジニアがプログラミングを勉強すべき理由まとめ

以上、プライベートの趣味と仕事上の二つの観点から、非エンジニアがプログラミングを勉強するメリットを見てきました。このブログの内容をまとめると、下記の通りです。

  • プログラミングはエンジニアだけのモノではない
  • 手を動かしてものをつくるのが好きならプログラミングはいい趣味になる
  • プログラミングは結果を目で見ル事ができるので面白い
  • 非エンジニアがプログラミングができるようになると、希少な人材になり、一目置かれる
  • 自動化ができるとミスがなくなり、心理的なプレッシャーから解放される
  • 正のサイクルが回り始める

以上、非エンジニアがプログラミングを勉強するべき理由でした。

<お知らせ>
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【退屈なことはPythonにやらせよう】のAmazonレビューに見る、初心者本を選ぶときの注意点

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エンジニアの会社員にとって自動化Pythonといった言葉は大変魅力的に響きます。

「もし自分で自動化のプログラムが作れたら・・・」と言う憧れもあって、こっそり本屋さんやネットで色々と調べている。そんな方に向けて、Amazonの様々なレビューと実際の本を見比べながら初心者本の選び方と注意点を探っていきます。

目次

Amazonレビューに見る初心者本の注意点を探る

実際のAmazonレビューを見る前に、この記事を書いた私、ゆんのレベルをまず明らかにします。その後、初心者とはどういう意味なのかを確認した上で、Amazonレビューを考察していきましょう。結論を急いでいる人の為に、要旨だけ先に書いてしまいます。
<この記事の要旨>

  • 「初心者」と言う言葉は、書き手にとって「何の」初心者を意味しているのかに着目する
  • 低評価の理由のうちのひとつは期待とのズレであり、それは本のせいではない
  • Pythonというプログラミング言語は魔法の杖ではないが、このブログが理想と現実の橋渡しになる

以下、【退屈なことはPythonにやらせよう】という「初心者向け」Pythonの参考書を例に挙げて初心者本を選ぶときの注意点について要旨を深掘りしていきます。Pythonの参考書を題材に取り上げるので、私のPythonとその周辺のレベルから明らかにしていきます。

この記事を書いた人のレベル

まず、私自身について背伸び、誇張、矮小なく等身大の説明します。自動化に必要な周辺レベルについても説明します。

本業について
  • SEやプログラマーと言ったエンジニアではありません
  • もともと、受注や発注と言った事務職に携わっていました
  • 最近は業務プロセスの統廃合やマニュアル化といった業務改善を本業にしています
  • プログラミングは業務改善の手段として、作業の一部を自動化するのに使っています
  • 職場ではエクセルを多用しているので、エクセルVBAを使う機会が最も多いです
プログラミングについてのレベル

PythonとVBAについて背伸びせずに書きます。2020年1月6日時点の情報です。

<Python>

  • 繰り返しや条件分岐、リストといった基本的な文法は理解している
  • 最小二乗法という方法を使ってデータの傾向を分析したことがある
  • 上記の分析は、ある機械学習の参考書のサンプルコードを改造して作ったものであり、自分でゼロから書いたわけではない
  • 単純なエクセル作業くらいは自動化できるが、Webの作業はほとんど自動化した経験がない
  • 使ったことのないライブラリがたくさんある
  • Pythonで自動化した案件は4つしかない

<VBA>

  • エクセルでできる作業なら大概が自動化できます
  • メールの配信やパワーポイントへの図表の貼り付けなど一部、エクセル外の業務も実装できます
  • VBAで自動化した案件は数え切れない程たくさんあります

はい、これくらいのことができて、それ以上はできない。これが今(2020年1月6日時点)の私の実力です。

初心者の意味

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上で明らかにしたレベルを「すごい」と思う人もいれば「ザコ」と思う人もいるでしょう。それは読み手の捉え方次第です。読み手の捉え方次第と言う事は、私の実力や実績とは関係ありません。読んだ人と私の相対的なレベルの関係によって、様々な評価があるわけです。

「初心者」と言う言葉も「すごい」とか「ザコ」と同じ種類の言葉です。つまり、受け取る側によってどう思うかが異なるわけです。エンジニアが言うプログラミングの初心者と、プログラミングなんて触ったこともない非エンジニアの会社員が言う初心者とは全く意味が違うのは自然な事です。

エンジニアが言う初心者の意味

SEやプログラマーといったエンジニアの方が言う初心者とはどういう意味かというと、日常で使っているプログラミング言語と違うので使い慣れていなかったり、初めて書くことになった言語を取り扱う人という意味で使います。彼らは「〇〇はよくわかってない」というような言い方をします。よく分かっていなくても、調べればわかるし、すでに知っているプログラミング言語との差分を埋めていく形で理解できるので、ある言語が初心者である事をなんとも思っていません。むしろ知らない事はあって当然と言うスタンスです。非エンジニアが言う初心者とは全く意味が異なります。

普通のサラリーマンが言う初心者の意味

一方、エンジニアではない、この記事の想定読者が言う初心者の意味は、本当にプログラムを書いたことが無い、という意味です。そして初心者向けの本に期待していることは、「こんな自分にでもできる」ことです。本を買うということは、その本に書いてあることが出来るようになることを期待して買っているということです。つまり初心者向けの「退屈なことはPythonにやらせよう」と言う本に書いてあることが初心者の私でもできるようにならなければ、この本は「初心者」向けではないので、この本が悪い、ということになってしまいます。

【退屈なことはPythonにやらせよう】の著者はエンジニアで技術ライター

本の奥付で確認したところ、この本を書いた方はプロのエンジニアです。そしてライターと言う事で、技術的なことを記事にする仕事もしているそうです。この本は上で見た、エンジニアが言う初心者向けの本でした。「ノンプログラマー」とありますが、これは基礎文法も前半部分に少し載せてあるよ、位に捉えておくのが吉です。

Amazonのレビューを見てみる

初心者の意味が分かったところで、Amazonで実際に掲載されているレビューを確認してみましょう。

まずは低評価から見て行きます。

低評価の具体例

pythonの本なのでバッチファイルに関する説明は「付録」に数行記載があるだけで、
素人には全く役に立たないです。何で大事な部分を省略するかな…

巻末の索引によればコマンドライン引数の初出も6章だが、
何なのか説明が全くない。
(★のレビュー/14人のお客様がこれが役に立ったと考えています)

特にexcelの章についてですが、
業務で強いられる「退屈なこと」は、この程度の内容では全くカバー出来ない。
という意味で、誇大な題名。買って残念な本だった。
(★のレビュー/2人のお客様がこれが役に立ったと考えています)

上記ふたつは初心者である自分の期待と違ったために、本を低く評価している例です。確かに期待したのと違うのだろうと言うことがうかがえます。ちなみに、この本は後半部分が自動化できる作業を色々と紹介しています。それぞれの技術(例えばインターネット上のサイトから情報を抜き出す技術)がしっかり解説仕様と思えば、それだけで一冊本ができるほどの内容です。

それが7章~18章まで12種類も載っていて、一冊に収まっているのですから、それぞれの技術について実務に耐えられる解説がなされている訳がありません。それが分かっているかどうかが、この本の評価が高評価かどうかに掛かっています。

「自動化処理プログラミング」のタイトルに惹かれて購入しましたが、掲載されている内容はどれもこれも実用には程遠いレベルでした。
ライブラリの紹介本と割り切ればまぁまぁかもしれません。
(★★のレビュー/11人のお客様がこれが役に立ったと考えています)

こちらは、冷静です。実用にはほど遠いレベルなのはその通り。ライブラリの紹介本と思って読むべきなのでその通り。この方は正しく本を評価しています。それなのに星の数が少ないと言うことは、やはり、期待していたものとはズレがあったことがうかがえます。

次はやや長めのレビューです。

私はまさにノンプログラマーから独学でRubyをマスターして
10万レコードくらいのデータなど
GUIで操作するにはきついExcel業務とかをまさに
プログラミングで乗り切ってます

RPAなど騒がしいですが事務方作業の自動化はまさにこういう
プログラミングによる自動化要望に始まってやがてRPAの導入などに昇華していくはずですと考えています

この書籍はPythonではどういうライブラリがあるのか
知りたくて購入しました

本書は環境構築から始まって、基礎的な文法処理、ライブラリのマスターまで
1つに収まっていますが副題の
原題はこうだから、"practical programming for total beginners"
『ノンプログラマーにもできる自動化処理プログラミング』は誤解を生むのでは?
ノンプログラマーでもできる、と書かれるとScratchみたいなGUIプログラミングで
Pythonライブラリでも操作できるのかしらとか、
ライブラリの設定ファイルだけ保存すればプログラミングそのものは無しで
実行できるのかしらとかプログラミング不要、という軽い気持ちで考える方もいるのでは?

なか見検索もないので、わけわからず買った人も多いと思いますし
ただでもお腹いっぱいなコンテンツなのに600ページ以上の本なのだから
Kindle版を出すべきと思います
(★★のレビュー/104人のお客様がこれが役に立ったと考えています)

こちらはまともな低評価です。期待する内容と本の内容が一致した上で低評価を与えています。そして低評価の理由が本の題名が中身と一致していない、これでは誤解をしてしまう人がいてもおかしくない、というしっかりとした理由があります。これは本そのものの評価になっているため、参考になる低評価と言えます。

高評価の具体例

pythonを使って、定性業務を終わらせようが趣旨の本です。
VBAで業務効率化を図っておりましたが、web検索、画像処理などが増えてきたため、新たに言語を学ぼうと購入しました。(web検索はVBAでもできるが、IE操作のため、、)
pythonとは何か?
webを開くなどなど、
一つ一つ基本的なやり方を教えてくれます。
アイディア探しには持ってこいです。
自分がやりたいことが本におさまってないこともありますので、ネット検索の併用が必要になってきますが、指針が分かってくると、検索の勘所がつかめ、割とコードを書けています。
(★★★★★/58人のお客様がこれが役に立ったと考えています)

高評価の方はべた褒めが多いので一つだけにしておきます。この方はVBAで相当の自動化経験があり、他の言語を探していたところ出会ったのがこの本だったとのことです。「アイディア探しにはもってこい」と言っています。その上で、「自分がやりたいことが本におさまってないこともありますので、ネット検索の併用が必要」とレビューし、★5つを与えています。つまり、自分が求めている本に出会えた上で、本そのもののデキにも満足していることがうかがえます。

初心者本を選ぶ時のAmazonレビューの注意点(このブログの本題)

これまでのAmzonレビューの具体例から分かることは下記の通りです。

  • 低評価には読者の期待と本の内容が違ったことに対する不満と、本そのものへの不満の2種類がある
  • 読者の期待と違ったことに対する不満からくる低評価レビューは選ぶ本の間違いなので、本の価値とは関係ない
  • 読者の期待と本の内容が一致した上での低評価は、本そのものに具体的な改善点がある意味で貴重な意見である

つまり、低評価を見ることによって、その本を買った人がどんな期待とのズレがあったかが分かります。これを見ることで自分も同じような「思っていたのと違う」を防ぐことができます。そして、そのレビューが本訴の物の価値を表していないことに注意が必要です。どんな期待のズレがあったか分かった上で、高評価レビューの方がどのような点に満足したのかが分かれば、いわゆる初心者本選びで失敗する可能性を下げることができます。実際、私はプログラミングの本で購入して失敗だったという本は一度も出会ったことがありません。

基本文法を身に付けてから、実務に生かせるまでの間に小さくないギャップがある

一番大切な事は前項で述べた通りです。ここからは本を購入した後の話について簡単に触れます。
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【退屈なことはPythonにやらせよう】が本当の初心者向けではないことが分かりました。前半は本当の初心者向けの基礎文法について触れられていますが、第7章以降の「処理の自動化」偏では自分でネットで色々と調べる必要があります。そして、その過程こそが、プログラミングが上達する部分です。分からないところを調べて、自分でできる様にするところが大事です。

だから、ひとつ完成品を作ったことがあるかどうか、というのがとても大切です。それが分かった上で、この本を通して題材を選び、自分の実務に置き換えて実際に使えるモノを作ると確実に実力が向上します。そういう意味で、自動化のネタを提供してくれる、この本は秀逸です。

確実に実力が向上する事と引き換えに、自分で調べる事はそれなりに大変です。ここが落とし穴です。実力が向上する場面はある程度大変なモノです。つまり、基本文法と実務で使える便利ツール実装の間には段差が存在します

これを分かっていれば、この本の良さが分かってくると思います。この本に限らず、Pythonに限らず、またプログラミングに限らず、初心者本を選ぶときはこのあたりのことに注意して選ぶようにしましょう。

そして、このブログは基本文法と実務の段差を埋める役割があると思って運用しています。是非ご活用下さい。

初心者本を選ぶときの注意点まとめ

  • 低評価レビューは期待と内容のギャップであり、選択ミスの可能性アリ
  • 低評価レビューは自分も同じ選択ミスをしないのに有効に使える
  • プログラミングで基本文法と実務で使えるアプリを実装する能力には段差がある
  • その段差を埋める「調べる」という作業こそが実力を高める
  • このブログは基本文法と実務の段差を埋める役割があると思って運用している

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2020年 社会人に求められるスキルセット【労働の「賞味期限」長く】|2020年1月3日付・日本経済新聞コラムを読んで思う

2020年1月3日付、日本経済新聞朝刊「逆境の資本主義」コラム【労働の「賞味期限」長く】の見出しが目に止まりました。AIやIoT、自動化が浸透してきた今、今後の社会を生き抜いていくために身に付けるべきスキルとはどのような事なのかを考えてみました。

まずは2020年1月3日付、日本経済新聞朝刊「逆境の資本主義」のコラムを抜粋します。

(前略)
「知」が価値を持つ今は、年齢や肉体の衰えとは関係なく優れたアイデアを出す人が果実を得る。新しい地平の働き手を支えるデジタル化が、資本主義を成り立たせてきた資本家と労働者の境界を消し始めた。
(中略)
米国では組織に属さないフリーランスが27年にも就労者の過半を占めるという予測もある。
(中略)
「デジタル時代はスキルの陳腐化が格段に速まり、労働者の安定性が揺らぐ」と語る。
 技術が誕生するたびに一部の労働者は職を奪われたが、それを上回る需要が雇用を生んだ。時間や肉体ではなく知で勝負する時代には、働き手の「賞味期限」は伸びる。新しい時代に合った制度や人材教育にどう舵を切るか。新しい競争が始まった。

(以上、2020年1月3日付、日本経済新聞朝刊「逆境の資本主義」のコラムより抜粋)

現代の状況を自然に捉えた解説だと感じます。確かに歴史を振り返れば、産業革命や技術革新のたびに職がなくなり、雇用が創出されてきました*1。知識や技術で勝負ができるので、工場での肉体労働など若さに頼る必要がなくなったため、体力的に長く働けるようになった事を【働き手の「賞味期限」は伸びる】と表現している訳ですね。

ここで、疑問が生じました。賞味期限が延びるのは人それぞれではないか、と言う疑問です。肉体的な限界が伸びる一方、精神的な「賞味期限」はむしろ速まるのではないかと言う事です。抜粋の冒頭にある通り、【「知」が価値を持つ今は、年齢や肉体の衰えとは関係なく優れたアイデアを出す人が果実を得】ます。フリーランスで仕事を請け負ったりYoutubeなどで情報や娯楽を発信する働き方が普及しつつある事を鑑みれば自明でしょう。この波に乗れない人が一定数要るのでは無いか、むしろ、日本全体で見たときには「賞味期限」は短くなる人が多いのではないかと言う懸念が生じました。

平成の後半生まれや例話の時代に生まれる世代はこの時代の流れが当たり前の中なので問題なし、または、社会人は今をどう生きるかという考察の対象外とします。問題は現在の概ね30歳以降の世代だと思います。もっと言えば本当は年齢など関係ないのですが、概ね30歳以上に「賞味期限」が短くなる人が多くいるのではないかと思います。

この世代が【デジタル時代はスキルの陳腐化が格段に速まり、労働者の安定性が揺らぐ】時代にどういったスキルを身に付けるべきかと言う事です。肉体的には「賞味期限」は伸び、「スキルの陳腐化」が速まるなら定年まで逃げ切りなんて到底ムリです。

そこで身に付けるべきスキルは、スキルを素早く身に付けるスキルだと考えました。ムダのない勉強法や早く読む方法や記憶術など、テクニックは色々あると思います。根底に、どんどん身に付ける、日々吸収するのが当たり前、そういうマインドセットが一番大切なのだ、と言う事を私の感想の結論としたいと思います。

*1:調べてみると、産業革命などの大きな変革以外でも消えた職業はたくさんあるようです。例えばタイピスト。35歳の私からしたらなんだそりゃ、て感じですが、昔はタイプライターで字を高速で打鍵する専門職があったそうです。いま存在している仕事が将来なくなることは結構、普通のことなんですね。

ROI(投資利益率)|計算時の留意点

システム導入などのプロジェクト推進の為に稟議書や上申書といった書類で決裁を仰ぐことは、会社勤めでは良くあることですよね。そんな中で必ず重要視されるのがROIと呼ばれる投資対効果の指標です。

今回はROIを求める時に気を付けたい落とし穴と、システムベンダーの営業やコンサルタントに騙されない為にを解説します。

目次

ROIを算出する際に気を付けること

気を付けるべき事を見る前に、言葉の意味を確認しておきましょう。

ROIとは

ROIはReturn on Investmentの略です。Returnはリターン、回収です。Investmentは投資です。本質的な意味としては、どれくらい効率の良い投資かを求める指標です。

本質を突いた簡単な定義

式で求めるとこのようになります。

ROI = 利益 ÷ 投資額 x 100 (%)

ざっくり言うと100円かけて10円の利益が出たら、10円 ÷ 100円 x 100 =10% です。

ちゃんとした定義をざっくりと確認しておく

Wikipediaの定義を見てみます。こちらは管理会計の考え方で、経営指標です。

投資利益率(とうしりえきりつ、英: return on investment, ROI)とは、投資額に対してどれだけ利益を生み出しているかを見る尺度である。下記式で計算される。

(投資利益率 %)= 100 ×(当期純利益)÷{(期首総資本+期末総資本)÷ 2 }
引用先:
ja.wikipedia.org

なんだかちょっと難しくなりました。当期純利益というのは今年度の純利益です。売上から原材料費や従業員の給与や株式の配当金やらを加味した本当の最後に手元に残った利益のことです。まあ、単に利益でいいです。割り算の分母も難しくなっています。機首総資本と期末総資本を2で割っている、と言うのはざっくり平均の総資本を求めていると言う事です。

総資本は自分のお金や建物などの資産と借りてきたお金を足したものです。売上を上げるための原動力ですね。利益を売上を上げるための原動力で割り算しているのでお金をどれだけうまく使っているか、と言う指標となります。

こちらのWikipediaの方の定義は管理会計の考え方で、資本効率を判断するための指標です。うまく利益が生み出されているか、と言う経営指標です。今回解説したいROIは経営指標としてのROIではなく、単発の投資案件のROIなので、これ以上は管理会計の方のROIに関しての解説は割愛します。

ROIに潜む罠

本質を付いた簡単な定義で解説したように、ROIの式は簡単です。もう一度書いておきます。
ROI = 利益 ÷ 投資額 x 100 (%)

ここで注意しなくてはいけないのは「利益」とは何を指すのか、「投資額」とは何を指すのか、です。式は簡単ですし、出てくる言葉も簡単なのですが、言葉が簡単だからこそ、意味を明確にしておかないと罠にはまってしまいます。罠というのは、コンサルタントに騙されたり、投資の判断を誤ってしまう可能性があると言うことです。

妥当な「利益」を設定する

上のWikipediaの例では、利益のところが当期純利益になっていました。個別の投資案件を判断するときに、必ず当期純利益にこだわる必要はありません。むしろ、案件に応じた適切な値を設定する方が大事です。当期純利益は人権費を引いたり、株式の評価損のような関係のない損益まで考慮に入れます。個別の投資案件であれば、当然、その投資が直接影響を与える利益だけに限定すべきです。売上の増加に寄与するなら「売上高の増分ー原材料費の増分」などを計算すべきです。原材料費が削減できるのであれば、その削減経費をそのまま利益に計上することができます。人手が削減できる時は要注意です。ここが罠です。人件費は粗利益に影響しません。人は付加価値を高めるためのリソースなので、労働時間を少なくしても、そのこと自体は利益には影響しないのです。よって、時間削減効果が主な利益の場合は、浮いた時間でどのような付加価値があるかを計算しなくてはなりません。

現実的にはこの計算は難しいので、ROIを計算するときの分母に労働時間の削減時間を計上しようとしている案件があったら注意しましょう。それは利益ではない可能性があります。(実際、その人をクビにするわけではないですよね)

妥当な「投資額」を設定する

普通、単に社外に流出する金額を投資額と見て問題ありません。会計的には、使って終わりの経費とお金が形を変える資産への投資は明確な違いがあります。しかし、単に投資の判断をするときは、社外に流出する金額を利益の増加額が上回っているかどうかだけを考えれば問題ありません。ポイントは、「経費と資産への投資は別物」と分かった上で、単純に捉える事です。

ROI計算時の留意点まとめ

ROI計算時の留意点をまとめます

  • ROIは利益の設定を間違いない事が大事
  • 経営指標のROIと投資案件の判断のROIは分子にすべき利益の種類が違う
  • 労働時間の削減がROIのRになっている場合は要注意
  • 経費と投資は根本的に違うが、そこまで分かった上で社外流出金に着目して「投資額」を分母にするのはOK

以上、分子と分母に敏感になって正しい投資判断ができるようにしていきましょう。